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元気に育つアイアイの子「ウーラナ」、そのお気に入りは…
 └─2017/11/27

 上野動物園の西園「アイアイの森」中央の小さな部屋では、2017年5月1日生まれのメス「ウーラナ」(マダガスカル語で「雨」の意味)と母親の「フアーヴィ」がいっしょにくらしています。

・ウーラナ誕生のニュース「『アイアイの森』での音対策、そして子どもの誕生」2017年7月1日


母親フアーヴィ(手前)と子のウーラナ

 アイアイの子は、生まれてもしばらくは巣箱から出て来ません。母親は子どもを置いたまま、えさを食べに行きます。ウーラナが巣箱から出て来るようになったのは2017年7月のなかばでした。

 それから徐々に巣箱から出て来る時間が増えてきました。9月末には、目隠しにしていた寒冷紗をガラスからすべて取り除き、活動しているようすだけでなく、母親が子育ての準備として出産前に巣箱に運んだみごとな枝葉の山もよく見えるようになりました。


母親が巣箱前に集めた枝葉の山。下に飼育係が落下防止用の麻袋を張った

 巣箱のまわりの枝のあいだには、麻袋が何枚も張ってあります。これは、母親が落ち着かないままだと子をくわえて室内を動き回ることがあり、そのとき誤って子どもを落とすおそれもあります。そこで、落ちてしまった子が枝にぶつからないよう、危なそうな場所をチェックして、出産前に安全対策として麻袋を張ったのです。

麻袋は子どもの成長とともに少しずつ外していくつもりだったのですが、活動量の増えたウーラナは、ちょうどよい遊び道具として使っています。最初は麻袋に向かってジャンプの練習に使っていましたが、最近午後になると、麻袋の上で寝転がる母親フアーヴィに飛びかかり、元気に取っ組み合うレスリングが見られるようになりました。


【動画】落下防止のために張った麻袋で遊ぶアイアイ母子

 子の大きさは現在、親の半分ほど。暗い室内ですがよく見ると、アイアイの子ども特有のフワフワとした毛並みや、活発な動きからすぐにウーラナを見分けることができます。麻袋はしばらく外さず、遊び道具として使ってもらおうと思いますので、ぜひ親子のコミュニケーションを観察してみてください。

〔上野動物園西園飼育展示係 中村壮登〕

(2017年11月27日)


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