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不忍池に今年も来ました! 冬を告げるカモやカモメのなかまたち
 └─2016/01/08

 今年(2016年)も不忍池は、冬になると日本に渡ってくるカモやカモメたちでにぎわっています。昨年もお伝えしましたが、上野動物園では、毎月1回、休園日に不忍池周辺に飛来するカモやカモメ類の調査を実施しています。

・「不忍池は今年もカモとカモメで大にぎわい!」(2015年1月23日)

 2015年12月の調査では、多い順にキンクロハジロが154羽、ユリカモメが106羽、オナガガモが34羽でした。少数ですが、ホシハジロ、ハシビロガモ、オカヨシガモ、セグロカモメ、オオセグロカモメが確認されています。ユリカモメは、昨年よりも早く不忍池に多く集まっていますが、他種は、ほぼ例年通りです。


ユリカモメ

 この調査で重要なのは種の識別です。冬に渡ってくるカモ類の多くは、オスが繁殖期特有の目立つ羽色をしていて、メスは地味な褐色の羽をもっています。渡ってきた直後はまだオスもメスと同じように地味な羽色をしている個体もいるので、そのころは識別が少しむずかしくなります。

 羽色以外にも、くちばしの形や色、虹彩の色、足の色など、識別のポイントはいくつかあるので、じっくり観察すると種を識別することができます。

 不忍池は全部で3つの池に分かれていますが、いずれの池でもよく観察されるカモメのなかまがユリカモメです。ユリカモメの成鳥は、赤いくちばしに赤い足、耳の周辺に黒い斑があるのが特徴です。


左:セグロカモメ、右:オオセグロカモメ

 カモメのなかまで識別がむずかしいのが、セグロカモメとオオセグロカモメです。不忍池への飛来数は少なく、動物園の外に位置する「ボート池」だけで毎年のように観察されます。2種は姿形がよく似ており、とくに1羽でいると識別が困難です。

 識別ポイントはおもに翼の羽色の濃淡、体の大きさ、足の色の濃淡などです。くわえて、2種とも幼鳥から成鳥になるまでに4年ほどかかり、その過程でくちばしの色や模様、足の色、虹彩の色、羽色も変わるため、観察担当者も自信がないときには写真で記録し、図鑑などの専門書で調べ直すこともあるほどです。

 冬になると彼らに出会える喜びもありますが、正確に識別しなければ!と気合いの入る季節でもあります。ぜひみなさんも、上野動物園におこしの際は、不忍池でカモやカモメたちを観て、冬の訪れを感じていただけたらと思います。そして、ぜひ図鑑を片手に識別にも挑戦してみてください!

〔上野動物園東園飼育展示係 宇野なつみ〕

(2016年01月08日)


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