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葉っぱじゃないよ、カエルだよ♪ ミツヅノコノハガエル
 └─2015/12/11

 上野動物園の両生爬虫類館(ビバリウム)の温室内には、茶色の箱でできた外国産両生類の展示コーナーがあります。現在この展示コーナーではリニューアルを進めていて、窓枠を拡張して大きな水槽を配置したり、新しい種類を展示するための工夫をおこなったりしています。


ミツヅノコノハガエル成体

 今回あらたに常設展示を始めたのがミツヅノコノハガエル。マレーシアなどの熱帯雨林に生息するこのカエルは、体は茶色で、名前のとおり目と鼻の先がツノのようにとがっており、枯れ葉のような外見です。敵から身を守るための「擬態」と考えられます。よく見ると、葉脈のようなすじや虫食いの穴のような模様も体表にあり、擬態の精巧さに驚かされます。展示場には落ち葉もいっしょに入れてあるので、そこにまぎれているカエルの姿をぜひ探してみてください。

 なお、飼育予備室では今年(2015年)5月末、上野動物園としては初めての繁殖が見られました。ミツヅノコノハガエルの生息地には雨季と乾季があるため、飼育下でもその環境を再現することで繁殖を促せることが知られています。

 そこで、乾燥したケース内で飼育した後、水を散布してみました。最初の年は抱接が見られたものの、産卵は見られませんでした。そこで今年は、長時間大量に水を降らすことができる環境を作ったところ、すぐに産卵が見られました。


幼生たち

 孵化したオタマジャクシたちもユニークな外見です。口が漏斗状になっていて、水面に浮かぶ細かい餌を吸い込みやすくなっています。ふだんは水草に隠れていますが、粉末状の魚のえさを入れると、水草のあいだから一斉に上がってきて、水面からぶら下がるように口を上にして食べ始めます。


上陸した子ガエル

 孵化の約3か月半後から上陸し始めた子ガエルたちは、初めは丸みをおびた顔でしたが、徐々に成体と同じようなツノが出てきました。常設展示として維持できるよう、展示場の整備だけでなく、子ガエルたちを健康に育てていきたいと思います。

〔上野動物園は虫類館飼育展示係 船藤史〕

(2015年12月11日)


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