動物園の動物は、繁殖や展示などのために、動物園どうしで貸し借りをしたり、交換をしたりすることがあります。こうした動物の移動のための手続きや準備が、私たち「調整係」の仕事の一つです。
動物の種類によっては、動物を移動するための法的な許可や届けが必要になります。また、契約書の取り交わし、個体情報や餌の確認、検疫の準備手配、動物に適した輸送箱の準備、関係部署や運搬業者との連絡調整など、多くの人と関わりながら、たくさんの準備をしなければなりません。実際に移動をおこなうまでに数か月がかかることもまれではありません。
そんな仕事を経て、いよいよ動物の移動日を迎え、数種類の動物を移動することになった調整係の一日をご紹介しましょう。
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オオアリクイ輸送箱の到着 | 輸送箱に動物を収容する |
まず、オオアリクイの搬出から開始です。輸送業者には、交通事情を考慮して余裕をもった時刻に来てもらいます。みんなで力を合わせながら重たい輸送箱を動物舎に運び、動物を収容し、車の荷台に運び込みます。トラックを見送り、行き先の動物園に「無事出発」の連絡を入れるとすぐ次の仕事の準備です。
この日2つ目の移動は、多摩動物公園と井の頭自然文化園から鳥類を運ぶというものでした。最初に車で上野から多摩へ向かい、鳥類を受け取ってから井の頭へ行き、井の頭でも鳥類を受け取って上野に戻ってきました。動物の状態を確認してから動物病院に引き継ぎ、この日の動物移動は終了です。
到着個体の確認。上野動物園動物病院
こうしてそれぞれの動物園にあらたに入った動物は、動物病院での検疫をすませると、ようやくみなさんと会えるのです。
〔上野動物園調整係 木岡真一〕
(2015年12月11日)