冬になり寒さも増してきました。この時期、上野動物園のニホンザルは繁殖期の真っ最中。顔と尻が真っ赤に染まっています。さらに、冬毛が長く生えそろった姿はとてもきれいで、冬はニホンザルをいちばん美しく見られる季節と言えるでしょう。
この季節、野生のニホンザルは森の中で落ち葉を掻きわけながら、ドングリなどの堅果実を探して食べます。また、積もった雪を掻きわけて食べ物を探すこともあります。手先の器用なニホンザルにとって、何かを掻き分けて食べ物を得るという行動は、ごく自然な行動なのです。
そこで上野動物園のサル山では、寒い季節には利用されなくなるプールに水を張るのをやめ、その中にわらを敷き詰めて、ドングリなどの小さな食べ物をまいてみることにしました。
プールにわらを敷きつめると、ニホンザルたちはさまざまな行動を見せてくれました。子ザルたちはふかふかのわらに飛び込んだり、雑巾がけをするようにしてわらを集めたりする姿が見られました。おとなのサルたちは熱心に食べ物を探すようになり、ひまな時間も減ったように思います。
この「わらのプール」は2015年10月13日に始めました。2か月近く経つ今も、1日4回のえさの時間の合間に、入れ替わり立ち替わり、数頭のニホンザルがわらを掻きわけています。「わらのプール」に顔を入れて食べ物を探すニホンザルたちにぜひ会いに来てください。
・関連動画:東京ズーネットBB「
サル山の空のプールにわらとドングリ」(2015年10月撮影)
〔上野動物園東園飼育展示係 青木孝平〕
(2015年12月04日)