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アフリカクロトキとアフリカヘラサギの同居
 └─2015/04/03

 上野動物園でカンムリサケビドリの引越しをおこなった2014年10月6日、アフリカヘラサギ6羽も西園の水禽舎からアフリカクロトキ舎へ引越ししました(カンムリサケビドリ移動の記事はこちらです)。


 名前に「サギ」とありますが、ヘラサギはサギのなかまではなく、トキのなかまです。生息地のアフリカでは、アフリカクロトキとアフリカヘラサギが一緒に飛んで移動したり、採食場を共有することが知られています。

 移動先のアフリカクロトキ舎ではアフリカクロトキ10羽がくらしており、巣台に集まって休むと窮屈な状態でした。いくら自然界で一緒にくらしているとはいえ、とまる場所が少なくてはトラブルにつながりかねません。そこで 60×340センチの細長い巣台を設置し、ゆったりとまれるようにしました。以前からあった細長い巣台も60センチ伸ばしました。

 西園の担当者によれば、アフリカヘラサギにはアジを与えているとのことでした。アフリカクロトキのえさはオキアミとトキ用ペレットです。分類的に近い鳥どうしでもえさが違います。2種がうまくそれぞれのえさを食べるためには、準備が必要でした。

 アフリカクロトキ舎には直径約1メートルの円形の池があり、オキアミはここで与えていましたが、大好きなオキアミを食べたいアフリカクロトキが場所を占め、アフリカヘラサギが一緒に食べる余裕がなさそうです。そこで、アフリカヘラサギへの給餌用に一辺約1メートルの池を増設しました。アフリカクロトキに邪魔されないよう、足の長いアフリカヘラサギに合わせて深めに作りました。えさとなるアジはここに入れます。

 引っ越し直後のアフリカヘラサギはちょっと緊張して仲間どうしで床の上にかたまっていたのですが、徐々に慣れ、巣台に乗ったり、アフリカクロトキを押しのけて採食したりするようになりました。巣台の上で2種類の鳥が並んでとまっているようすは、まるで以前からずっと一緒にいたかのようです。なお、2015年3月27日現在、4羽のアフリカヘラサギを展示しています。

 新しい巣台は、ケージのそばにある坂から見ると、大人のちょうど目の高さです。鳥たちが休んだり、羽づくろいをしたりするようすが目の前で見られます。もし巣台にいなかったら、池でえさを食べている時間帯かもしれません。マレーグマ側の塀から竹をそっとよけてのぞいてみると、水にくちばしを突っ込んで大騒ぎしながらアジやオキアミを食べるところが観察できます。

〔上野動物園東園飼育展示係 佐藤恵〕

(2015年04月03日)


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