上野動物園のアジアゾウ舎で、オスの運動場に遊具を設置しました。
現在、上野動物園ではアジアゾウを4頭(オス1頭、メス3頭)飼育しています。野生の場合、オスの子どもは群れの中でくらしていますが、10歳頃になると群れから離れ、単独あるいはオスだけのグループで生活するようになります。
上野動物園でも野生での生活を参考にし、オスとメスは別の運動場で飼育しています。そのため、オスの「アティ」はつねに1頭なので、ふだんの生活に刺激が少なくなりがちです。以前から、運動場にいるアティが楽しめるよう遊具を用意してやりたいと思っていたのですが、今回動物園サポーター資金を活用し、ようやく実現することができました。

もっと早く遊具を用意してやればよかったじゃないか!と思われるかもしれませんが、ゾウのパワーは凄まじいため、単にタイヤや丸太を置くだけでは、ゾウが鼻で持ち上げてお客さんのいるところまで投げてしまう恐れがあり、簡単に設置はできませんでした。
まず、遊具を取り付けるためのフックを運動場に設置しました。これにチェーンなどを取り付け、遊具をつなげれば、遠くへ投げてしまうことはありません。
2014年の大晦日、まずはタイヤを付けてみることにしました。ところが運動場に出たアティはタイヤに見向きもせず、いつも通り青草を食べ始めました。あまり関心がないのかなぁと残念に思っていたのですが、少ししてタイヤに気づいたのか、すぐに大興奮で遊び始めました。
そのようすを動画で撮影してありますので、ご覧ください。
これまであまり聞いたことのないような雄叫びをあげながらタイヤで遊ぶアティの姿は、とてもほほえましい光景でした(動画のシーンには雄叫びは含まれていません)。
ところが翌日は早くも飽きてしまったのか、初日のような興奮は見られず、たまにさわる程度の反応しか示さなくなってしまいました。こんなにも早く飽きてしまうのかと驚きましたが、これにめげず、遊具のバリエーションを増やし、日替わりでさまざまな遊具を取り付けようと考えています。
現在オスの運動場前は柵の増設工事がおこなわれているため、運動場をご覧になることができませんが、工事が終わる頃、動画のように大興奮で遊ぶアティのようすをみなさんに見ていただけるよう、試行錯誤していきます。どうぞ、その時を楽しみにしばしお待ちください。
〔上野動物園東園飼育展示係 三塚修平〕
(2015年01月30日)