寒さ厳しい季節となり、上野動物園ではニホンツキノワグマの冬眠展示が始まりました。
上野動物園の冬眠展示は、動物本来の生態を伝えることを目的に2006年から取り組みが始まりました。今年で9回目をむかえます。
これまで親子2頭で冬眠するようすなどを展示してきましたが、今回はオスの「ソウ」(推定9歳)、メスの「クー」(推定9歳)と「タロコ」(推定8歳)、計3頭の冬眠を公開しています。
ツキノワグマの冬眠施設は、「展示室」「準備室」「冬眠ブース」の3部屋にわかれています。展示室に隣接する準備室は、東北地方の環境を参考にして作られ、室温をマイナス5℃まで下げることができます。準備室は、野生の冬眠穴を模して作られた冬眠ブースへとつながっており、冬眠中のクマはほとんどの時間を冬眠ブースで過ごします。冬眠ブースと準備室の間は自由に行き来できるので、冬眠ブース内の温度は準備室の設定温度に影響され、およそ0℃です。
冬眠のようすを映し出すモニター画面
今回、クーが冬眠するのは3年ぶりです。ソウとタロコは以前の経緯から、東京の気温でも環境を整えれば冬眠することがわかったので、冬眠ブースではなく、室温約6℃の部屋で冬眠しています。
クマの冬眠は、1.体温があまり下がらない(通常時から約4℃低下するのみ)、2.冬眠の途中で覚醒することがない、3.妊娠したメスは冬眠中に出産することがある、などの特徴が挙げられます。
しかし、例年にくらべると3頭の冬眠は浅い状態のようで、目覚めることも少なくありません。一日約20時間は寝て過ごし、起きている間は寝床を整える姿や、乾草を持ち上げて遊んでいるかのような行動も見られます。上野動物園の冬眠施設で冬のツキノワグマのようすをぜひご覧ください。
〔上野動物園東園飼育展示係 野島大貴〕
(2015年01月09日)