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平たいカエル「ピパ」の展示開始
 └─2014/09/12

 2014年8月28日から上野動物園両生爬虫類館の外国産両生類展示コーナーで「ピパ」の展示を始めました。

 このカエルは南米の熱帯域の泥底の川や湖に生息し、一生を水の中で過ごします。また、別名を「コモリガエル」と言い、メスは産んだ卵を背中の皮膚にとりこみ、その中でオタマジャクシが成長してカエルになり母親の背中から出てくるという、ユニークな繁殖方法で知られています。

 しかし、ユニークなのはそれだけではありません。

 まずその姿に驚かれるでしょう。葉っぱのように薄い体や小さな目など、みなさんが思い浮かべるカエルの姿とはまったく違うと思います。 

 また、前後で形が大きく異なる足にも注目してください。後ろ足はとても大きくひだになるほど幅の広い水かきがあります。ピパは、ふだんは川底などでじっとしていることが多いのですが、驚いたりすると、薄っぺらな体にしては意外なほど素早く泳ぎ、生えている水草を蹴散らしそうな勢いです。

 一方、前へのびた細い前足の指先には星型の突起があります。ここは感覚器官になっていて、ここに水生生物などがふれると反射的に食べるのです。この指先で感じることにより、沼のような濁った水の中でも餌を食べることができるのでしょう。前足は餌の魚を食べる瞬間に口へ寄せたり、うまく口に入らなかったときに押し込んだりするときにも、手のように使っています。 

 餌の魚は不定期に与えていますが、もし水槽の中の魚がピパに近づいたら目を凝らして見てください。

 かたちも食べ方も変わっているピパにぜひ会いにきてください。

〔上野動物園両生は虫類館飼育展示係 船藤史〕

(2014年09月12日)



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