上野動物園両生爬虫類館(ビバリウム)では、2014年7月14日にオオサンショウウオの身体測定をおこないました。
オオサンショウウオは特別天然記念物に指定されている日本固有の動物で、世界最大の両生類です。
健康管理のため定期的に身体測定をおこなっていますが、見るからにつかみどころのないオオサンショウウオをどのように捕獲しているかというと……。飼育係が胴長を履いて直接水槽に入り、葛西臨海水族園から借りているマグロ用の担架を使って2人がかりで捕まえます。夜行性のかれらは日中じっとしていることが多いのですが、この日ばかりはいつもと違う雰囲気を察知し、よく動き回っていました。
捕獲したオオサンショウウオは、担架に乗せたまま水槽の外で待機している計測班に渡され、素早く体重、全長(吻端から尾の先端まで)、頭胴長(吻端から総排泄口まで)を計測し、水槽に戻します。
全長を測るときには、ビバリウムに代々伝わる飼育係お手製の計測器を使います。オオサンショウウオの体表はヌルヌルした粘液で覆われているため、ただでさえ計測しにくいのですが、危険を感じたときに分泌される白い粘液も出てきてさらに四苦八苦。しかもこの白い粘液は何ともいえない独特な臭いを発します。この臭いが山椒の香りに似ているため「オオサンショウウオ」という名前になったという説もありますが、実際に嗅いで見ると山椒の香りには似ておらず、もはや「オオサンショウウオの臭い」と形容するしかない臭いなのです。
そんな苦労の末、約30分で飼育個体3頭すべての身体測定が無事終了しました。一番大きい個体は体重13キロ、全長115センチ、一番小さい個体では体重6.5キロ、全長85センチでした。いずれも前回の計測より大きくなっており、ホッと安堵した担当者なのでした。
写真上:マグロ用の担架を使って水槽からオオサンショウウオを取り出す
写真下:ヌルヌルの体を押さえて身体測定
〔上野動物園両生は虫類館飼育展示係 川崎繭〕
(2014年07月25日)
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