2014年7月14日、上野動物園子ども動物園のオスの木曽馬「春嵐」が木曽馬の里へ旅立ちました。
春嵐は2013年4月4日に当園で生まれました。生まれた当初は35.7キロだった体重は今では10倍近くになり、怪我や病気に罹ることも一切なく、すくすくと成長しました。
搬出日は当初3日前の7月11日を予定していましたが、台風8号の影響で延期し14日になりました。
当日春嵐は、担当者の心配をよそに、一度も見たことのない馬運車(馬専用トラック)にまったく動じることなく、自ら荷台に駆け上り、備え付けられていた餌を食べる大物ぶり。一方、母親「幸泉」は、心配そうにいなないていました。
春嵐には、物おじしないマイペースな性格と若い雄馬ならではの馬力で、木製の餌箱や牧柵が幾度も破壊されました。その補修に追われ、名前の通り嵐のような飼育の日々でしたが、今となっては懐かしく感じます。
今回の木曽馬の里への搬出は、約160頭にまで減少した木曽馬の保存に貢献するためで、オスの春嵐は、種雄候補馬としてさまざまな検査を受けた後、今後の行き先が決定します。木曽馬保存会の方からは、体格・性格ともにとても優秀だとほめていただきました。あとは血液や精液など、生理学的な検査を通れば種雄に選ばれます。
担当者としては、上野動物園で生まれ育った春嵐の血統が、歴史文化価値のある日本在来馬木曽馬として代々続いていくことを切に願っています。
・東京ズーネットBBの動画から:「
木曽馬『春嵐』誕生」
写真上:搬出の日の木曽馬「春嵐」
写真下:馬運車の中
〔上野動物園子ども動物園係 川鍋政孝〕
(2014年07月18日)