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オオアリクイ「ガンコ」の子、デビュー
 └─2014/05/09

 2013年7月4日朝、上野動物園のオオアリクイ「ガンコ」が寝部屋の中でうずくまって動こうとしませんでした。室内には血のあとがあり、妊娠の可能性が高いことから異常分娩を疑い、ただちに帝王切開をおこないました。

 出産後母親ガンコは育児ができない状態だったので、子どもは動物病院で人工哺育をすることになりました。誕生時の体重は 965グラム。幸い哺乳瓶の乳首をじょうずに吸うことができ、その後下痢をすることもありましたが、すくすくと成長しました。(なお、残念ながら母親のガンコは、手術後10日目に死亡しました。ガンコ死亡の記事

 最初はヒト用の保育箱で育てましたが、動きが活発なため、生後30日ほどで木製の囲いに移動。その後、大型犬用のサークルで人工保育を続けました。

 生後150日には体重が16キロを超え、冷凍アリを解凍して与えるなど、離乳食を与えることにしました。

 2014年4月24日まで、生後 294日間を動物病院で過ごしましたが、さすがに動物病院の囲いも手狭になり、季節もよくなってきたので、4月25日の朝、西園の「走禽舎」に移しました。すでに体重は48.5キロです。

 運動場の金網に上ってしまうのではないか、そこから落ちてしまうのではないかと不安があったので、運動場の金網の上部には幅広く透明のアクリル板を張りました。

 オオアリクイは外見上、雌雄の判別がむずかしく、子の雌雄はいまのところ不明です。現在、徐々に動物舎などの環境に慣れてきていますが、外でごらんになれない日もありますので、あらかじめご了承ください。

・東京ズーネットBB動画「オオアリクイの人工哺乳」(2013年8月撮影)

写真上・中:2013年7月6日撮影
写真下  :2014年5月8日撮影

〔上野動物園動物病院係 平野雄三/西園飼育展示係 山口歩〕

(2014年05月09日)



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