以前の記事で上野動物園のユーラシアカワウソの給餌のくふうについてお話ししましたが、今回は展示場内に遊具を設置し、飼育環境の改善に取り組んだことについてご紹介します。
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「ユーラシアカワウソのエンリッチメント」(2013年10月04日)
動物園でよく使われる遊具としては、竹筒やブイなどの中に餌を入れて、動物自身に餌を取らせるものなどがありますが、今回設置した遊具は大きく分けて2種類あり、ハンモックや竹籠など展示場内に固定して設置したものと、プラスチック製のカゴや葉が付いている枝などを取り外しが可能な状態で設置したものがあります。
カワウソは遊び好きとよく言われますが、当園のユーラシアカワウソ「うめ」「もも」「さくら」の3頭もとても好奇心旺盛で、遊具を設置するとすぐに近づいてきて物色し始めます。ハンモックや竹籠を設置してからは、そこが休息場所になり、とくに竹籠が人気の場所になったのですが、なぜか日に日に破壊され、一時は使いものにならないくらいボロボロにされてしまいました。
また、プラスチック製のカゴは、最初地面に置いておいたのですが、「さくら」がまずカゴに入っていると後ろから「うめ」と「もも」がやってきてカゴをひっくり返してしまい、さくらが箱罠にかかった形になり、悲鳴のような声を出して逃げ出し、まったく関係のない私に近づかなくなるハプニングもありました。
とはいえ3頭とも遊具には必ず反応してくれるので、飼育係にとっては嬉しい限りです。
上野動物園のユーラシアカワウソ展示場は、行動展示の一環として取り入れたアクリル水槽が目玉の施設で、来園者のみなさんにはカワウソが泳いでいる姿を間近に見ていただけるようになっていますが、逆に陸地での動きはあまり目に入りません。そこで今回は陸地部分に遊具を設置して、みなさんにカワウソの多様な行動をお見せできればと思っています。ぜひ陸地と水の中の両面から、ユーラシアカワウソをじっくり観察してみてください。
写真上:竹籠で休息中
写真中:ハンモックの中で
写真下:プラスチック製のカゴに入る「さくら」
〔上野動物園東園飼育展示係 野島大貴〕
(2014年02月14日)