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ユーラシアカワウソのエンリッチメント
 └─2013/10/04

 2013年3月、上野動物園に来園したユーラシアカワウソの「うめ」「もも」「さくら」の三姉妹はすっかり環境に慣れ、さまざまな行動を見せるようになりました。

 さて、近年動物園では、限られた飼育環境の中で、動物が心身ともに健康に生活できるようにするための取り組みが注目され、「エンリッチメント」と呼ばれています。放飼場内に隠した餌を動物に探させたり、餌を中に仕込んだフィーダーと呼ばれる遊具を動物が転がしたり、揺すったりする行動によって、毎日の生活に刺激と変化を与えるような試みが知られています。

 ユーラシアカワウソでは、餌の種類をなるべく増やし、日替わりで与えることで変化をつけています。もともと狩りをする動物なので、週2日ほどは生きたドジョウも与え、勢いよく追いかけて捕まえて食べることで、カワウソ本来の生活に近づけるようにしています。これはまた、採食時間を延ばすことと、器用な手先を使って餌を取る姿を見ていただくためでもあります。

 そのほか、金属の網を四角い箱状に加工して網目から餌を引っ張りだすタイプの物や、蓋を開けないと餌が取れない透明容器なども遊具として使用しています。網の箱は、吊るしたり、転がしておいたりとその日によって設定を変えていますが、遊び好きのカワウソたちは餌を取り終わった後も、投げたり、咥えて走り回ったりしています。蓋を閉めた透明容器は、ラッコのようにお腹の上で固定させ、口と手を上手に使って開けます。さくらは自分でせっかく開けたのに、ほかの2頭に餌を取られてしまう悲しい結末になることもたびたびなので、餌を全部咥えて隅の方で食べることもあります。

 学習を経て、餌を取り出すのが上手く早くなってきているので、日々試行錯誤しながら新しい方法に取り組んでいます。ユーラシアカワウソだけでなく、園内各所でエンリッチメントへの取り組みが見られます。どんなくふうがあるのか、注目してみてください。

写真上:網目から餌を出そうとしているカワウソ
写真下:透明容器の蓋を開けようとしている

〔上野動物園東園飼育展示係 野島大貴〕

(2013年10月04日)



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