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ジャイアントパンダ「シンシン」の近況(6月4日)
 └─2013/06/04

 上野動物園では、2013年3月11日、12日に、ジャイアントパンダの交尾行動が確認されています(記事はこちら)。

 6月4日現在のシンシンの近況について、お知らせします。

1.健康状態
 健康状態は以前と変わらず良好です。
 
(1)体重 
 5月26日現在 122kg (前回5月16日より1kg減)
 5月26日以降測定をおこなっていません。

(2)食欲 
 5月23日頃より減少してきた竹の採食量ですが、5月28日頃からは通常の半分程度の量です。

(3)行動 
 大きな変化はありません。


2.ホルモン値
 5月30日に採血した血液中の黄体ホルモンの値は、引き続き高いレベルにあります。


3.その他の情報

・今後、出産する場合に備えて、5月30日に監視カメラを4台設置しました。

・シンシンが安心できる環境を整えるため、本日6月4日より公開を中止しました。


4.今後の予定
  引き続き、健康状態についての観察、ホルモン動態の確認を進めます。


<参考>

◎シンシンの体重について
 健康状態に変わりがなくても、与える竹の状態や体重測定のタイミングによって、10kg程度の変動が認められます。

◎ジャイアントパンダの繁殖等に関する
           一般的傾向について

1.性成熟
 性成熟はオスで6.5~7.5歳、メスで3.5~4.5歳。

2.繁殖期
 繁殖期は一般的に2~5月。秋に発情するケースもある。繁殖期には、行動量の増加、臭い付け、水浴びによる体冷やしの増加、食欲減退、恋鳴きなどが見られる。発情期間は2週間あるが、そのうち受精できるのは数日間だけある。

3.妊娠期間
 交配後、83~200日の妊娠期間を経て出産する。妊娠期間は個体差がある。これは、着床遅延(※)があるためで、受精してから着床するまでの時間が1日のものもあれば数週間かかるものもある。着床までの時間によって妊娠期間が変わる。

4.妊娠時に認められる変化
(1)食欲の変化
 出産の30日前頃から食欲が減退し、餌を残すようになる。出産間際には食欲が廃絶する。

(2)行動の変化
 出産の15日前頃より巣作り行動が認められる。出産間際には行動が不活発になる。

(3)体の変化
 出産の30日前頃に乳頭が確認されるようになる。出産間際には陰部の腫脹、乳房の腫脹が認められる。

(4)ホルモンの変化
 出産前の3.7週~8週に妊娠の維持に必要な黄体ホルモン値の上昇が認められる。出産間際にはこの数値が下がる。

5.妊娠の確認
 妊娠時に認められる変化により推測するが、偽妊娠(※※)という生理現象がみられるため、確定診断は難しい。

<用語の説明>
※着床遅延(ちゃくしょうちえん)
 受精卵がすぐに子宮内膜に着床せず、胚盤胞の状態でしばらくの間子宮内に浮遊し、それから着床・発育を始める現象。温・寒帯に分布するクマ類やイタチ類、鰭脚類、カンガルーなどに認められている。着床までの時間によって妊娠期間が変わる。

※※偽妊娠(ぎにんしん)
 偽妊娠は病気ではなく生理現象の一種である。排卵すると、出産にいたらなくても妊娠と同じ経過をたどることが知られている。発情の後、妊娠しなくても、ホルモン値の上昇、動作の不活発、長い休息時間、食欲不振、乳頭の明瞭化、乳房の腫脹、巣作り行動など妊娠した場合と同様の現象が現れる。これを偽妊娠と呼ぶ。出産することがないまま日数が経過し、上記の変化が認められなくなって終息する。

*繁殖に関する項目の参考文献:
・「大熊猫 域外保全 理論と実践」
   (中国で発行された書籍)
・「ジャイアントパンダの飼育
   上野動物園における20年の記録」


<関連サイト>
上野動物園のジャイアントパンダ情報サイト
「UENO-PANDA.JP」


写真上:シンシン(5月31日撮影)
  下:産室内の監視カメラ

(2013年06月04日)



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