最近、上野動物園内の水辺では、ある生き物の鳴き声が聞こえてきます。さて何の鳴き声でしょう? ヒントは、「六月」や「梅雨」が良く似合う生き物です。六月・梅雨・水辺と聞いて思い浮かべる生き物と言えば、そう、答えは「カエル」です。
東園ゾウ舎のプール付近で耳をすますと、時折聞こえるのは「コロロロ……」というきれいな声。この声の主はシュレーゲルアオガエルです。春から初夏にかけてが繁殖期なので、オスがのどをふくらませて鳴いているのです。外国のカエルのような名前ですが、れっきとした日本のカエルです。
また、昨年夏は同じ場所でニホンアマガエルの声も聞くことができました。「クワックワックワッ」というやや騒々しい声です。今年もそろそろ聞こえるかもしれません。夕方や雨の日が声を聞くねらい目です。
西園の不忍池では、「ムーンムーン」という低い声が響きます。こちらはウシガエルの鳴き声です。その名の通り、ウシの鳴き声に似ています。
ただ、どのカエルも確認できるのは鳴き声だけで姿は見えません。声を聞いたら、次は両生爬虫類館へどうぞ!
「日本の両生類・爬虫類」コーナーでは、今回ご紹介した種類のカエルをすべて展示しています。子どものころ、カエルや水たまりがとても身近な遊び相手だったという方も多いかと思います。両生爬虫類館では、そんなカエルたちとの懐かしい思い出が蘇ることでしょう。若い方たちの目には最近見ることが少なくなったカエルたちが新鮮に映るのではないでしょうか。
カエルの鳴き声が聞けるのは長くても夏前後の数か月だけです。動物園にいらっしゃった際は、ぜひ水辺の声に耳を傾け、両生爬虫類館で声の主の姿をじっくり観察してみてください。
写真上:シュレーゲルアオガエル
写真中:不忍池
写真下:「日本の両生類・爬虫類」コーナー
〔上野動物園は虫類館飼育展示係 髙柳真世〕
(2012年06月15日)
|