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枠場の作製と在来馬の採血
 └─2012/04/13

 上野動物園子ども動物園では、現在5頭の在来馬(日本に昔からいる馬)を飼育しています。いつもは元気な馬たちですが、ときどき病気になったり、怪我をしてしまうこともあります。病気のときは、熱を測ったり、注射を打ったりしますし、怪我のときは、傷口を洗ったり消毒したりしなくてはなりません。しかし、馬も痛いのは嫌なので逃げようとして暴れます。馬にとっても人にとっても危ない作業なので、馬を治療するときには「枠場」(わくば)という装置を使います。

 枠場は、馬が入れる大きさの枠組みをしっかり固定して作ります。枠場を使うことによって、馬が暴れることなく安全に治療ができるのです。今まで子ども動物園には枠場がなかったため、今回木曽馬の「幸泉」と「初桜」の採血をおこなうために一から作ることにしました。丸太を入れる穴を掘ることから始め、丸1日かけてようやく完成しました。

 枠場は完成しましたが、次はこの枠場に馬を慣らす訓練をしなければ治療のときに使うことができません。まずは採血をおこなう木曽馬を慣らすことにしました。母親の幸泉は枠場まで連れて行くと、すんなり中に入りずっとおとなしくしていました。次は娘の初桜です。初桜は物怖じしない性格ですが、まだやんちゃなのでとても心配だったところ、すんなりと中に入りました。採血当日までに何回か枠場に入る練習をして、いよいよ採血です!

 採血当日、担当者の不安をよそに、ものの5分ほどで2頭の採血は終わってしまいました。幸泉は採血の経験がありますが、初桜の方は痛みに弱いため暴れるのではと思いましたが、大好きなニンジンに夢中で、針を刺されていることに気付かなかったようです。採血が終わっても「ニンジンをくれ」となかなか枠場から出て来ないくらいでした。

 無事に採血も終わり、そして枠場がきちんと使えることが証明されたので、これから木曽馬以外の馬も枠場での訓練をしていきたいと思います。もし子ども動物園内で訓練中の馬に出会ったらそっと見守ってください。

〔上野動物園子ども動物園係 渡邊葵〕

(2012年04月13日)



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