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震度5強! そのとき動物たちは?
 └─2011/04/26

 上野動物園のジャイアントパンダやゴリラの反応についてお知らせしましたが(下記リンク)、地震に対する動物の反応は大きく3つに分けられるようです。

 まず、ジャイアントパンダのように興奮して走り回るタイプ。私が目撃したタテガミオオカミは、パニックとまではいかないものの、しばらく運動場を走り回り、その後、揺れが強くなると寝室に飛び込んでじっとしていました。ハダカデバネズミも巣内で動き回り、ヤマネは枝の上を走り回った後、ぶら下がって固まっていたそうです。サルのなかまでは、クロシロエリマキキツネザルやブラウンキツネザルが枝やケージの中で激しく動き、鳴き続けていました。水辺の動物も同様で、カリフォルニアアシカはプール内で泳ぎ回り、モモイロペリカンは集団となって普段以上の速度で不忍池を泳ぎまわっていたそうです。

 次に、驚いてじっとするタイプ。ホフマンナマケモノはロープの中ほどでぶらさがっていましたが、普段は室内の枝につかまって寝ていることが多いので、安全と思われる場所に避難したのかもしれません。エゾヒグマは立ち上がって枝に両前足をかけ、不安げにあたりを見回していました。カバはプールの中でじっとしていましたが、余震の後、寝室に戻る際にサツキは足を踏み外してしまいました。関東大震災時には、カバの「京子」(ケイコ)がプールに飛び込んで5日間上がって来なかったそうですが、揺れているあいだはプールの壁にそって泳ぎ回ったとのことなので、ほかの動物も含め、まず動き回り、その後じっとようすをうかがうという反応がいちばん多い印象です。ニホンザルも山に駆け上がってしばらく降りてこなかったそうです。

 最後のタイプは少数派ながら、まったく動じないという反応。ラマとバクに変化は見られず、とくにバクはカシの葉を食べ続けていました。鈍感というより大物なのだと考えたいところです。

 地震の前に見られると言われる異常行動はとくに観察されていませんが、アジアゾウのダヤーとスーリヤがぴったりと寄り添いながら鳴き声を上げ、そこにウタイが入ろうとキュッキュッと鳴いていたところ、数十秒後に大きく揺れたそうです。アイアイも、いきなり枝から枝にジャンプし始めたと思ったら、急に大きな揺れが来たとの報告がありました。長く続いた最初の微動を動物たちはいち早く感じ取ったのかもしれません。

 ケープペンギンもまとまって行動し、子ども動物園のラマ、アルパカ、ロバは放飼場の屋根の下で身を寄せあっていました。群れで生活するヒトも家族や知り合いと一緒だと安心できたのではないでしょうか。地震から1か月以上がたちましたが、社会全体が「1つの群れ」としてたがいに頼り、助け合う行動が大切なのだと実感しました。

熊猫的新聞(パンダニュース)──3 地震を乗り越えて

大地震に遭遇したゴリラたち

写真上:ホフマンナマケモノ
写真中:ラマ(左)とアメリカバク
写真下:アイアイ

〔上野動物園教育普及係 井内岳志〕

(2011年04月26日)



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