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パンダ舎の主(あるじ)の死
 └─2011/04/08

 上野動物園では、リニューアルしたパンダ舎が2頭のジャイアントパンダ来園で活気を取り戻しました。

 そんなパンダ舎にジャイアントパンダがいなかった約3年間、留守番をしていたのはアイ、チャチャ、キタロウ、チャオ、テンテン、アンアンの6頭のレッサーパンダたちでした。ジャイアントパンダの代わりに飼育されていると思われがちでしたが、この6頭はジャイアントパンダのリンリンが健在のときから、パンダ舎で飼育されていました。

 中でも2001年来園のアイと2003年来園のチャチャの2頭は、ジャイアントパンダの脇役としても長いあいだパンダ舎でくらしてきました。
 この2頭はリンリンの隣の部屋で飼育されていましたが、オスのチャチャは自分よりもはるかに大きなジャイアントパンダに対しても格子越しに威嚇し、追い払う勇猛なレッサーパンダでした。

 またチャチャは、この6頭の中でもっとも器用に前足を使って餌を食べるレッサーパンダでした。チャチャといっしょに長年パンダ舎を盛り上げたアイは、2009年に老衰でこの世を去りました。残った5頭もジャイアントパンダの再来園に際し、西園に引っ越すことになりました。しかし、すでに15歳を超えていたチャチャは、老齢であることを考慮し、パンダ舎にしばらく残ることになりました。

 2010年10月末にはパンダ舎周辺に工事用の柵が設けられ、リニューアル工事が始まりました。ついにチャチャの居室にも工事が入ることになり、パンダ舎を去ったその約3か月後の2011年3月25日、その日は突然やってきました。

 前々日の朝までは食欲もあってふだん通りでしたが、夕方いつもより早く休息を取り、そのまま眠り続けるように息を引き取りました。年齢は18歳8か月。老衰による死亡でした。

 ジャイアントパンダ不在のパンダ舎で主(あるじ)として盛り上げ、パンダ舎のリニューアル工事をほぼ見届け、再びジャイアントパンダに主役の座を譲って安心したかのような最期に感じられました。

 中国からやってきた2頭の若いジャイアントパンダにも、天国から睨みをきかせ続けてほしいと思っています。

〔上野動物園東園飼育展示係 倉持浩〕

(2011年04月08日)



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