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子ども動物園の在来馬、5頭一緒になりました
 └─2011/01/07

 上野動物園子ども動物園では2010年9月27日より離乳のため、母親から離れてともだち牧場にいた木曽馬の子「初桜」と付き添いの与那国馬「シン」の2頭を、在来馬運動場に戻しました。

 じつは離乳が終わったわけではなく、これにはある事情があるのです。

 ともだち牧場に仲間入りした初桜とシンは、初めのうちはとくに問題なかったのですが、徐々にシンが、アルパカなどほかの個体を攻撃するようになりました。オスのシンが群れのリーダーになろうとする行動なのですが、ほかの動物たちにとってはたまりません。アルパカたちは初桜とシンが近づくだけで、しきりに鳴き、ツバを吐きかけるようになりました。初桜はまだ子どものメスなので攻撃的な行動は見られなかったのですが、シンと同罪にみなされ、わけも分からずツバまみれになっていました。

 そのような状況が1か月ほど続き、事態は悪くなる一方で、ともだち牧場の動物たちはみな神経質になっているのが明らかでした。

 このままではいけないと感じ、専門家とも相談して、11月11日2頭を木曽馬「幸泉」、トカラ馬「琥太郎」、野間馬「えりか」のいる在来馬運動場に戻したというわけです。

 2頭を運動場に入れると、5頭の中で一番力の強い幸泉が、シンだけは群れの一員と認めず、執拗に攻撃してきました。その後シン1頭だけぽつんとほかの4頭を見つめている姿をよく見かけたのですが、ここから先は私たち人間にできることはなく、馬同士で解決してくれるのを待つしかありません。

 そして5頭を同居させてから1か月がたち、群れはようやく落ち着いてきました。幸泉も少しずつシンを群れの一員と認めてきたようで、鼻を突き合わせて匂いを嗅ぎ合い、一緒に並んでいる姿も見ることができます。やんちゃな琥太郎が初桜とお互いの背中をグルーミングしていることもあります。えりかは相変わらずマイペースです。とにかくやっと群れらしい群れになりました。

 心配していた初桜の離乳ですが、以前に比べて乳を吸う頻度がぐっと減りました。あとは少しずつ自然に完全離乳してくれることを願っています。

※木曽馬「初桜」の馴致と群れ入りの記事

写真上:同居当初は5頭が興奮し走り回った。
写真下:(右)幸泉が(左)シンと鼻を突き合わせ、群れの仲間と認めたところ

〔上野動物園子ども動物園係 橋川真弓〕

(2011年01月07日)



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