2010年9月22日、上野動物園でアイアイの子どもが生まれました。両親は、2001年にマダガスカルから来園したソアとマミルアです。ソアは今回が8回目の出産で、無事育てば5頭目の育成例になります。妊娠期間は154日、性別はオスで体重118グラムでした。
昨年オープンした「アイアイの森」でソアが出産するのは今回が初めてです。8月13日に、それまで一緒にいた2008年12月生まれのヒーラから離し、静かで狭い展示室へ移しました。
アイアイは出産後2か月は巣箱の中で子を育てますが、ソアは子をくわえて運び出し、落としてしまうことがよくありました。そこで、今回も出産予定10日前から落下防止用に麻袋をハンモック状につるしました。
出産当日、ソアはやはり子をくわえて現われ、手に持とうとして下に落としてしまいました。運よくハンモック上に落ちたので、ほっとしましたが、何か異物を見るようにしながら時々近づいて触ったりするだけで、拾う気配がまったくありません。じりじりとした時間がすぎ、およそ2時間後にやっと自分でくわえて巣箱に戻しました。結局、この日は確認できただけで4回もハンモック上に落下しました。
しかし、翌日からソアのようすが一変しました。ほとんど巣箱から出てこず、たまに採食に出てきても子をくわえて出てくることはありません。夜間に乳首を吸われて母性がよみがえったのでしょうか。その後もとても安定した日々が続いており、以前のアイアイ舎でのドキドキ感がうそのようです。今回の展示室は騒音や振動がなく、落ち着いて育児ができているようで、新しい施設のありがたさを身をもって感じています。
現在子の姿はほとんど見ることができませんが、12月にはおぼつかない足どりで巣箱から出てくると思います。これで、上野動物園のアイアイは総勢8頭になりました。
写真上:出産当日
写真中:生後13日目
写真下:生後20日目
〔上野動物園西園飼育展示係 細田孝久〕
(2010年10月15日)
|