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カリフォルニアアシカ、2頭目の出産
 └─2010/07/09

 2010年6月26日上野動物園でカリフォルニアアシカのチャッピー(14歳)が出産しました。アシカの子どもは6月1日に出産したカコに続いて、2頭目になります(カコの子がメス、チャッピーの子がオス)。チャッピー自身は今回で6産目のベテランママです。

 じつは、チャッピーの出産は想定外でした。カコが出産し、子も順調に大きくなり一安心していたところ、26日の朝にチャッピーが出産していたのです。そのときにはすでに授乳もしており、さすがベテランママといったところです。事前に気づかなかったのか?といわれると、情けないことなのですが気づきませんでした。ただ、チャッピーの行動が変だなとは思っていたのですが、それと出産とが結びつかないところが、飼育係として未熟なところです。

 アシカの子は生まれたばかりは泳ぐことができません。泳ぎ始めるのは、だいたい生後1週間から10日ほどたってからで、始めは子がおぼれないように母親はつききりで、徐々にその距離を離していきます。このとき母親と子は、鳴き交わしたり、お互いの口の中のにおいを嗅ぐことでコミュニケーションをとります。

 さて、カコとチャッピーの子育てスタイルを比較してみると、それぞれの性格があらわれているように感じます。
 まず、先に出産したカコは、好奇心旺盛で環境の変化などに順応するのが早く。そんなカコの子育てスタイルは放任主義です。もちろん始めは子に寄り添い面倒を見るのですが、子が水に興味を持ち始めると遠巻きに見ていて、水に落ちてもまずは自力で何とかさせます。子のしたいようにさせる、というのが
カコの子育てスタイルのようです。

 一方、チャッピーは神経質です。そんなチャッピーの子育ては慎重そのもので、子からはほとんど離れず一緒に寄り添っています。子が水際に近づこうものなら、鳴いて引き寄せなかなか泳がせようとはしませんし、他のアシカが近づくと威嚇して近づけようとしません。自分が餌を食べるためにプールに入っても、陸地に残した子が心配なようすで、何度も子の元へ戻っていく姿が見られます。

 そんな子育てスタイルの違いが影響しているのか、子どもたちの泳ぎ始めた時期が異なりました。カコの子は6日目には自分からプールに入り泳ぎ始めましたが、チャッピーの子は12日目でもまだ水に浸かる程度です。

 これからは、子どもどうしで遊ぶ姿も見られるはずです。親子関係にも注目してみてください。まだまだ甘えたがりで、かわいい盛りの子どもたちに、ぜひ会いに来てください。

カコの出産ニュース、動画はこちら

写真:チャッピー母子

〔上野動物園西園飼育展示係 齋藤圭史〕

(2010年07月09日)



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