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オオアリクイ、ツチブタの隣に移動
 └─2009/12/10

 2009年11月24日の休園日、上野動物園西園「イソップ橋下展示場」にいたオオアリクイの「ガンコ」(メス)を、同じく西園にあるツチブタ展示場の隣に移しました。

 オオアリクイは中南米に生息する動物。寒さに弱い動物です。これまで室内展示室がなかったため、天候によっては放飼場に出せないこともあったのですが、あたらしい展示舎には屋外放飼場と屋内展示室の両方があります。いつでもオオアリクイを見ることができるようになりました。

 引っ越しまでの経過をお伝えしましょう。

 今年の5月、上野動物園に「アイアイのすむ森」がオープンし、新展示舎にアイアイやハイイロジェントルキツネザルを移動しました。そこで、空いた展示室を利用して、食性が似ているツチブタとオオアリクイを隣合わせで展示することにしました。(なお、イソップ橋下展示場に移る前、オオアリクイは今のツチブタ&ホフマンナマケモノ展示舎にいたので、古巣に戻るような移動です。)

 アイアイ移動後、さっそく整備を開始しました。まず、アイアイが使っていた木組みなどをすべて搬出。ベテラン職員先導のもと、わずかな人数で半日の間に4つの部屋をすっかりかたづけました。

 その後、土の入れ替え、給排水処理施設の整備、照明の取替えなどをおこない、それぞれの動物に合った環境を準備しました。オオアリクイ放飼場には、水浴びが大好きなガンコのためにシャワーと大きめの池を用意しました。

 さて、続いてオオアリクイの移動です。なるべくガンコに負担がかからない引っ越しをしようと考え、約2週間前から室内に輸送箱を置いておきました。ガンコがこの箱に慣れて気に入ってくれれば、中で寝ている間にそっとふたを閉め、静かに運ぶ計画です。

 ところが、ガンコはいつも早起きで、こちらの思惑どおりにいきません。そこで、箱の中で朝食を食べているうちに、そっとふたを閉めてそのまま運ぶ計画に変更しました。引っ越しを予定していた朝、ガンコは自分から餌を食べに箱に入ってくれたので、新居への引っ越しはスムーズに終了。なお、引っ越し準備期間中、箱に慣らしているときに体重を測ったところ、40.4キログラムでした。

 移動直後、ガンコは新居をウロウロとくまなく歩き回って探索していましたが、30分くらい経つといつものように指で土を掘ったり、なめたりし始めました。午後の餌はいつもどおり完食。とても落ち着いているようすなので、こちらもホッとしました。

 引っ越しから2週間経つと、毎朝前足を使って水鉢から体に水をかけ、大きなカギ爪でガシガシと体を掻いてグルーミングする姿が見られるようになりました。やっぱり水浴びが好きなんだなぁ、とあらためて思いました。来年の夏、新しい池で行水する姿を見せてくれるのを期待しています。また、床暖房と土が心地よいのか、早く休むようになりました。閉園間際、長い尾を体に寄せ、丸くなって寝ている姿が見られるかもしれません。

 今後もこのエリアの整備は続きます。ぜひ上野動物園西園におこしください。

写真上・中:屋外放飼場
写真下  :屋内展示室

・東京ズーネットBBの動画

オオアリクイ(2003年撮影)
(このときは、今現在ツチブタとナマケモノがいる飼育舎でオオアリクイを展示していました。)

オオアリクイの水浴び(2004年8月撮影)
(「イソップ橋下展示場」での2頭の水浴びシーン)

〔上野動物園西園飼育展示係 多田和美〕



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