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部屋に戻ろうとしないアフリカゾウ「アコ」
 └─2008/05/23

 現在、多摩動物公園のアフリカゾウ舎で、少し困ったことがおきています。飼育している4頭のメスのうち、アコとマコの2頭は日本最高齢のアフリカゾウなのですが、アコが部屋に帰ろうとしなくなってしまいました。

 ゾウというと「鈍感」「鈍そう」などというイメージをおもちの方もいらっしゃるかもしれませんが、じつは、大きな体に似合わず、とても繊細で神経質な動物なのです。なぜこんな話をしているのかというと、今年(2008年)3月、ゾウ舎内で個体間の関係から部屋替えをおこなったところ、使いなれた部屋から移動したことで不安に思ったのか、アコが自室に戻るのをためらうようになってしまったからです。

 夕方、部屋に帰る時間になると、アコはマコより先に帰ろうとして、部屋へと続く通路の前までやって来ます。そして、何度か通路に入ろうとはするのですが、なぜかそのまま後ずさって戻って来るのです。そのすきに、マコが先に部屋に入ろうとすると、「そこはゆずらない!!」とばかりにアコは道をふさいでしまいます。力くらべではアコに分があるため、マコはしぶしぶ放飼場の土山などに行って時間をつぶしています。

 ところが、もともと臆病な性格のアコは、マコのすがたが見えなくなると急に落ち着きをなくしてしまいます。来園してから約40年、本当の姉妹のようにいっしょに生活してきたためか、アコはマコがそばからいなくなると不安になってしまうようです。なら、追い払わなければいいのに……。

 結局、担当者が号令をかけ、アコの入室を手助けをするのですが、それでも一晩中部屋に帰ろうとしない日もありました。みなさんが来園した際、夕方になっても部屋に帰る決心のつかないアコを見かけたら、少し離れたところから静かに見守ってやってください。

写真上:入舎をいやがるアコ
写真中:アコ
写真下:時間をつぶしているマコ

〔多摩動物公園北園飼育展示係 野本寛二〕

(2008年05月23日)



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