2008年5月5日に開園50周年をむかえる多摩動物公園。その歴史とともに歩んできたチンパンジーのメス「ミミー」が来園したのは、1958年5月4日。多摩動物公園最初の個体です。
のちにジャーニー、ぺぺ、ベティーが来園し、ミミーを含めた4頭で「ザ・カルテット」としてステージやテレビCMなどで活躍しました。引退後は3頭の子をもうけ、「トリオ・ザ・ママ」として多摩の群れ展示の基礎個体になりました。
そして現在、推定52歳を迎えたミミーは、チンパンジーとしては国内で2番目に長生きの個体となりました。
幼いころのミミーはどんな感じだったのでしょう。当時の飼育日誌にはこんなことが書かれています──「飼育事務所の机上に遊ぶミミーの珍しさにひかれ、その姿をカメラにおさめんものとカメラを構えて窓ガラスにすり寄る多勢の来客が窓辺を暗くした」。また、「最初に来て大勢の人に必要以上に可愛がられあまやかされたせいか、ひねくれやすくずるさも有り扱いにくい」とも。
大人になってもミミーは変わらずとても賢いチンパンジーで、群れの中の順位も高く、怒ると迫力があり、一目おかれています。人間に対して甘えることもなく、駆け引きも大変上手です。言われたことは義務的にそつなくこなしますが、ときどき意地悪をしておどかします。
最近子どもと遊んでいるすがたや、日なたでゴロ寝をしているミミーを見ると、温和になったように感じます。寄る年波のせいで腰も少しばかり曲がっていますが、食欲や動きなどはちっともおとろえず、群れへの目配りをしている元気なすがたが見られます。
毎年季節の変わり目には、体調を崩さないよう、私たちはミミーを注意深く見守っています。一年でも一日でも長生きをして、若いチンパンジーたちに生きざまを語ってもらいたいものです。
写真上:幼少時のミミー
写真下:現在のミミー
〔多摩動物公園北園飼育展示係 島原直樹〕
(2008年05月02日)
|