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オランウータン「ユキ」の来園
 └─2008/03/28

 2008年2月13日、福岡市動物園から多摩動物公園にボルネオオランウータンの「ユキ」(メス、推定38歳)がやってきました。福岡では1歳年上の「ミミ」(オス)とくらしていたのですが、施設の老朽化にともなう改修がおこなわれることになり、新施設完成予定の2012年まで、繁殖も視野に入れてユキをあずかることになったのです。ミミは2007年暮れに神戸市王子動物園に移りました。

 ユキとミミは、日本国内で数少ない野生由来の個体です。ユキは、推定3歳まで個人によって飼われていたのですが、1973年から1988年まで札幌市円山動物園、その後、福岡市動物園に移りました。

 多摩のオランウータンはみな小柄ですがユキはとても大きなメスです。現在、国内には34頭(オス16頭、メス18頭)のボルネオオランウータンが飼育されています。多摩ではユキが加わることで、オス3頭、メス7頭の大家族になりました。

 ユキは福岡から空輸されてきましたが、輸送にトラブルもなく、オランウータン舎に到着した後、検疫予定の部屋にスムーズに入ってくれました。ユキは性格がおだやかで、多摩の飼育担当者に対してもおとなしく、飼育しやすい個体です。到着後、検疫も無事に終わり、これまで1月以上が経過しました。

 2月24日、初めて第3放飼場にユキ1頭だけを出したとき、とても落ちついていて、すぐに土いじりを始めたり、洗面器水を入れて遊んだりしていました。そこで2月28日には、昨年(2007年)インドネシアからきたメスのキキ(7歳)と、やさしいおばあさんのジプシー(推定52歳)といっしょにしてみました。3頭とも初めてとは思えないほど、すぐにいっしょになって遊びだしました。

 キキにとってはまるでお姉さんがきたようで、2頭でやぐらやロープを使って遊んでいました。ジプシーとはよく手を握り合ってました。とはいえジプシーは室内でとなりのキキがえさをほしがると、自分のえさの入った洗面器をそのまま差し出して与えていたのですが、相手がおとなだからでしょうか、ユキがえさをほしがっても、うしろに隠すようなそぶりをしていました。

 このころから、モリー(メス、推定56歳)とフェンスごしに見合いをさせるようにしたところ、檻ごしに手をつかみ合うほどになったので、3月11日、モリーとユキをいっしょに放飼場に出してみました。モリーにとって、ジプシー以来、久しぶりの同居です。モリーはさっそくユキにかけよっていきましたが、やさしいユキは暴れるモリーを後ろからしばらく押さえていました。その後、7歳のオスのポピーとの同居もおこないました。

 現在、ユキが飛び地まで行けるよう、第3放飼場だけでなく、室内展示場や第1放飼場にも出す練習をしています。ユキは高齢ですが、性周期がはっきりしているので、オスとの同居やスカイウォークなどおこなう予定です。

〔多摩動物公園南園飼育展示係 黒鳥英俊〕

(2008年03月28日)



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