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ユキヒョウ、夏にむけて
 └─2007/05/18

 2007年も5月に入り、夏を先どりしたような暑い日がときおり訪れるようになりました。ふかふかの毛皮をもつユキヒョウたちは、すでにつらそうです。

 多摩動物公園のユキヒョウは、本格的な夏にそなえて、真冬の2月ごろから徐々に毛が抜け始め、5月ごろに抜け毛のピークをむかえます。個体によっては、来園者の方から「前よりやせましたか?」と聞かれるほど、見た目が変わります。とくにオスのシンギズはもともと毛が多く、抜けていくようすがよく観察できます。

 また、この時期になると、寝すがたにも変化があらわれます。冬のあいだは寒さから身を守るため、長いしっぽをマフラーのようにからだに巻きつけ、丸くなって寝ていましたが、今は四肢を伸ばして寝ています。もっと暑くなると、ハーハーと口で息をし、あおむけにひっくり返って寝るすがたが見られることでしょう。

 ユキヒョウにとって、夏は試練の季節ですが、担当者にとっても頭の痛いできごとが待っています。日中、暑くてあまり動かなかったユキヒョウも、夕方すずしくなると遊具で遊んだり、飛び跳ねたり、活発に動き始めます。そんな夕方の時間帯、閉園準備のためにユキヒョウを獣舎に収容するのですが、週に1度はシンギズがすなおに入ってくれなくなるのです。

 外の方が気持ちがいいのか、部屋の扉を開けてもそしらぬ顔。そんなとき、担当者は来園者通路側から呼びに行きます。それで室内に入ってくれることもありますが、それでもダメなときは、網ごしに追いかけっこ遊びをして、部屋の入口まで誘導します。たいていはそれで入ってくれるのですが、タイミングを逃すとイチからやり直しです。夕方のユキヒョウ舎にいらっしゃると、シンギズの気分しだいで四苦八苦している担当者をごらんいただけるかもしれません。

 今年は、いつも以上に暑さ対策に力を入れる予定です。シンギズにもなんとかこちらの思いが伝わることを願っています。

写真上:夏毛。2004年7月7日撮影
写真下:冬毛。2005年1月12日撮影(右がシンギズ)

〔多摩動物公園南園飼育展示係 福田愛子〕

(2007年5月18日)



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