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冬の風物詩、アフリカゾウのオイルケア
 ──2007/03/02

 冬になると、アフリカゾウの足や耳が黒く濡れていることがあります。来園者の方から、どうして濡れているのですか、と質問を受けることもありますが、じつは濡れているわけではありません。

 私たち人間も冬になると皮膚が乾燥して、指の先に「ささくれ」ができたり、ひび割れてしまったりすることがあります。おなじようにゾウも、冬になると寒さと乾燥のせいで、足の爪のまわりの皮膚が「ささくれ」のようになったり、耳のふちが切れたり、皮膚のうすい耳の裏から出血したりします。

 その予防策として多摩動物公園では、週に1回、足の先と耳にオリーブオイルを塗って保湿しています。基本的には、はけを使って直接塗りますが、個体によってははけの感触をいやがったり、塗ること自体をいやがったりすることもあるので、その場合には直接手で塗ったり、スプレーで遠くからかけたりします。

 4頭のゾウの中でも、マコ(推定42歳)とアイ(推定25歳)は耳がうすく、切れたり出血したりしやすいので、とくにたっぷりオイルを塗ります。また、年長のアコ(推定42歳)とマコの方が皮膚が乾燥しやすい印象もあります。

 4頭のゾウに1回 750mlほどのオリーブオイルをたっぷりと塗りますが、この冬は雨が少ないためか、3日もすると乾燥してきて、1週間も経つと、すっかりカサカサになってしまいます。

 オリーブオイルを塗った日には、足の先が黒く濡れたようになっていて、まるで靴でも履いているかのように見えます。オイルを塗る日はとくに決まっていないので、ご来園の際、運がよければ、靴をはいたようなかわいらしいゾウたちのすがたを見ることができるかもしれません。

 このオイルケアは、あたたかくなって、ゾウの皮膚の乾燥がおさまるまで続けます。

写真上:オイルケア後のアフリカゾウ「マコ」
写真中:オリーブオイルを塗る
写真下:オイルケア道具一式

〔多摩動物公園北園飼育展示係 櫻井佑子〕



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