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お腹の赤いベニモンアゲハ──2007/02/16

 多摩動物公園の昆虫生態園には大きな温室があります。そこは冬でも昆虫たちの楽園。さまざまなチョウたちが舞っています。今年(2007年)の冬、その中でも目をひくのが、お腹の赤い「ベニモンアゲハ」です。このアゲハチョウは冬に育てることがむずかしく、なかなか見ていただくことができませんでした。

 ベニモンアゲハは、八重山諸島や宮古島諸島に生息するチョウです。体は大部分が赤く、翅には赤い斑点があります。この目立つ色づかいは「警告色」。つまり、捕食者に対して、「私はおいしくないよ!」というメッセージを発しているのです。実際、ベニモンアゲハが幼虫時代に食べる植物(食草)はアルカイド毒を含むリュウキュウウマノスズクサであり、その毒は成虫になっても体内に残ります。そのため、捕食者はこのチョウを一度口にすると、あまりの不味さに吐き出し、以後、攻撃をしかけてこなくなるそうです。

 この毒が捕食者に対して発揮する効果は抜群なので、ベニモンアゲハがいる地域では、シロオビアゲハのメスがベニモンアゲハに擬態しています。ベニモンアゲハがいない地域では、すがたを似せても意味がないので、メスは同種のオスと似たすがたをしています。

 ベニモンアゲハとシロオビアゲハ、両方とも昆虫生態園にいます。お腹の赤いのがベニモンアゲハ、黒いのがシロオビアゲハです。温室の中で探してみてください!

(2007年2月16日)



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