寒さが一段と厳しい時期ですが、ニホンコウノトリにとっては、繁殖のために必要な伴侶を見つける大切な時期です。例外はありますが基本的にニホンコウノトリは一夫一婦制でいったん夫婦になると、 ずっと同じ相手と卵を産み、ひなを育てます。
国内で2番目に多くのニホンコウノトリを飼育している多摩動物公園では、遺伝的多様性を保つため、家系や血縁関係の近さなどさまざまな要素を考慮して、ペアをつくっていますが、このペアを組ませるペアリングが非常に難しいのです。
お互いの相性を非常に大切にするニホンコウノトリは、オスとメスを1羽ずついっしょにした場合、相性が悪いとオスがメスを攻撃して、ケガをさせてしまうことがあり、血統上組み合わせたいオスとメスであっても、こちらの思惑通りにはペアになってくれない難しさがあります。そのため、多摩動物公園では複数のオスと複数のメスを遺伝子的な組み合わせを考慮してひとつのケージに入れ、ニホンコウノトリ自身に好きな相手を選ばせるお見合い形式で行っています。
昨年、コウノトリ舎(園内マップ26)の「お見合いエリア」というところでオス3羽とメス3羽でお見合いを実施し、2組のペアを作ることができました。このお見合には千葉県野田市にある
コウノトリの里から
ペアリングのために預かっているメスの「ミライ」も含まれていましたが、残念ながら、「ミライ」の相手を見つけることができず、ペアを形成させることができませんでした。

コウノトリの「ミライ」
そこで、今年は遺伝子的な組み合わせが最適なメスである「ミライ」のペアを作るため、今まではオスとメス同数でのお見合をおこなっていましたが、オス3羽・メス2羽の組み合わせでお見合いを実施しました。
昨年同様、ペアになると縄張りを主張するようになり、攻撃性が高まるため、ペアができしだい、別の個室へ移動しますが、すでに個室は昨年形成したペアで満室のため、今回は「ミライ」のペアができたら、この「お見合いエリア」で繁殖させ、ペアにならなかったオスは別のケージに移す予定です。
今回のペアリングに使用するため、2025年1月8日に元々「お見合いエリア」にいた繁殖ペアを別の場所へ移動させ、新たにミライたち5羽を移動しました。
移動したばかりのミライたち5羽はまだ環境に慣れないのか、ぎこちないようすです。「ミライ」は国内では飼育羽数の少ない血統のメスなので、ぜひ相性のよい相手を見つけて、将来、私たちにかわいいひなを見せてくれる日が来ることを期待しています。

お見合いエリアですごすコウノトリ
〔多摩動物公園南園飼育展示第2係 川鍋〕
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