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動物ファースト主義
 └─ 2024/11/22
 来園者の方に動物園を楽しんでもらうためには、元気な動物の姿を見てもらうということはいうまでもありません。そのために飼育係は日々奮闘しています。その飼育係を支える仕事として、えさ台やえさ箱といった給餌器の製作や施設の修理などを担当するスタッフもいます。

 多摩動物公園で最近、修理や製作したのは、ツキノワグマのパーゴラ(日陰棚)、レッサーパンダの寝台と寝台に上るスロープ、タヌキのえさ台、タスマニアデビルの運動場の櫓(やぐら)、トキやナベコウ、レッサーパンダの輸送箱など、ここでは書ききれないさまざまなものがあります。


来園者が観察できるように前面に透明のアクリル板を設置したタヌキのえさ箱

 これらの仕事は飼育係からの依頼でおこなわれるのですが、本当のクライアントは動物だということが重要なポイントです。たとえばレッサーパンダの輸送箱をつくる場合は、レッサーパンダが歯や爪を引っかけることがないように細かな細工を施したり、タヌキのえさ箱の製作ではカラスなどがえさ箱の中に入ってくるのを防ぎ、落ち着いてえさを食べられるように出入口のサイズをくふうしたり、動物たちの気持ちや視線に寄り添った「動物ファースト主義」にもとづいておこなっています。

 タイリクオオカミがバックヤードで落ち着いて休めるような小屋の製作依頼では、オオカミの安全を考えて釘を使わずにつくることになり、オオカミの力にも耐えられるように堅い木材の木組みで強度を確保することにしました。作業としては大変になりましたが、これも動物ファースト主義の実践です。

 どのような対応が動物にとって適切かということは担当している飼育係がいちばん知っていますが、飼育設備を担当するスタッフも動物のことを考えて対応するように心がけています。

 そして、前述したタヌキのえさ箱に関して、先日「秋の月夜の晩にタヌキたちがえさ箱の上に集まって『お月見』を楽しむ映像が映っていた!!」とのニュースが飼育係から届けられました。


秋の月夜にえさ箱の上で「お月見」を楽しむ(?)タヌキたち

 このえさ箱は、タヌキがえさを食べている姿を来園者の方に観察してもらえるようにつくったものです。居心地が悪くないのかタヌキがえさ箱の中に入っていることが確認できていましたが、月夜の「お月見台」(?)として利用するまで気に入ってくれているとは、製作したスタッフにとってうれしいニュースでした。

〔多摩動物公園調整係 大田〕

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