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サーバルの繁殖──繁殖から展示まで
 └─ 2024/06/21
 こちらでお知らせしたとおり、2024年4月8日に多摩動物公園のアフリカ園でサーバルが繁殖しました。

 母親の「アキ」にとっては3度目の出産で、1度目(2022年3月)は死産、2度目(2022年10月)は出産した3頭の内2頭が成育しています。今回は2頭が生まれ順調に成長しており、2024年6月10日から公開も始まりました。


初めて展示場に出たときのようす

 今回の繁殖では出産時期の調整からおこないました。前回は秋に出産し、冬に1頭死んでしまったので、子が小さいうちは寒い季節と重ならないよう、発情が回帰する前から出産が4~6月になるように計画しました。発情が回帰したのは1月上旬でしたが、そこで妊娠した場合、生まれるのが3月になってしまうため見送り、1月下旬の発情でオスと同居をして交尾が確認できました。

 出産に備えて室内を映すカメラに加えて巣箱内にもカメラを取りつけ、少しでもそっとしておける状況を作るようにしました。巣箱に取りつけたカメラのおかげで、目視での観察はまったくおこなわずとも出産前後の行動を観察することができました。その成果か、前回は子をくわえて巣箱から出て室内を徘徊するなどの落ち着かない行動も見られましたが、今回は子が外に興味を示して自力で巣箱から出ようとしても咥えて巣箱に戻すなど、非常に落ち着いているようすでした。今回、私たち飼育係が初めて肉眼で子を見たのは生後14日目の性別確認の日でした。

 生後1か月程度で最初のワクチン接種をするのですが、その際に一部の毛を刈って個体を判別できるようにします。今回も毛刈りをおこなう予定でしたが、2頭を見比べたところ明確に異なる部分があったので識別用の毛刈りはしませんでした。というのも、オスの子の後肢の両指先が白く、肉球もピンク色という誰にでもわかる明確な違いがあったのです。

 家畜でよく見られる白足袋や白靴下と呼ばれるものと同じですが野生動物ではあまり見られません。この目印は遠くからでも暗くても目立つので、私たち飼育係にとっても大変便利です。


くわえて運ばれる子ども

 園内ではサーバルと同じ時期にアジア園のアムールトラも出産しています。小型ネコ科は半年~1年程度で親と同じくらいの大きさになり独り立ちしますが、大型ネコ科は2年ほどかかります。サーバルと比べて成長の早さが違うためアムールトラの子はまだ公開されていませんが、両種が公開になった際には成長の違いを比べるのもおもしろいでしょう。サーバルの親子展示は来春まで続く予定です。

〔多摩動物公園北園飼育展示係 廣瀬〕

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