多摩動物公園では、このたびアフリカゾウの「砥夢(トム)」(オス)の左牙の抜牙処置をおこないます。
現在、砥夢の左牙は、内部が空洞化してしまっています。このため、細菌感染のリスクが高く、健康管理上大きな問題が発生する可能性があることから、今回、アメリカから専門チームを招き抜牙します。国内では実施例がほとんどなく、成功すれば初となります。そのため、専門チームとの打ち合わせを重ね、実施に向けた準備を慎重に進めています。
処置するアフリカゾウ
名前 砥夢(トム)
性別 オス
年齢 15歳
生年月日 2009年3月17日
処置日 2024年5月22日(水)
処置をおこなう「砥夢(トム)」(オス)(撮影日:2023年7月14日)
経緯
砥夢は、2009年に愛媛県立とべ動物園で誕生し、2012年に多摩動物公園に来園しました。2016年頃から牙を柵に押し当てて揺らすなどの行動が増加すると、2018年には左牙を破折し、内部組織が露出するようになりました。2021年には歯髄を含む内部組織が壊死・脱落し内部が空洞化しました。
これまで、牙を損壊するような行動を軽減するため飼育方法の改善や内部洗浄を継続していましたが、牙再生の見込みがないことから、現状では、空洞内の細菌感染による頭蓋内部の炎症など大きなリスクを排除することができません。このことから、左牙の抜牙処置を実施することになりました。
方法
アメリカの抜牙専門チームの指導の下、全身麻酔にて抜牙処置を実施します。当日は、ほかにコーネル大学および日本獣医生命科学大学の専門家、国内のアフリカゾウ飼育園、近隣動物園等の協力を得て、処置を実施する予定です。
当園の飼育状況(2024年4月25日現在)
1頭(オス1)
国内の飼育状況(2023年12月31日現在)
日本国内の飼育状況:14園 24頭(オス4、メス20)
資料:アフリカゾウ国内血統登録台帳【(公社)日本動物園水族館協会】
(2024年04月25日)