2023年11月13日、多摩動物公園のシフゾウのメス「薫」(カオル)が死亡したのでお知らせします。21歳でした。
シフゾウ「薫」(撮影日:2023年8月29日)
「薫」は2002年5月8日に多摩動物公園で生まれました(
お知らせ)。これまで大きな病気等をしたことがなく、最近は加齢によって消化機能が落ちたり、便状が安定しなかったりしていたものの、元気に過ごしていました。
11月12日午後、室内に入った後、急に起立ができなくなりました。治療をほどこしましたが、翌13日に体調が急激に悪化し、改善が見られない状態となりました。今後、いちじるしい苦痛の増大が予想されることから、大変残念ながら、やむを得ず安楽死処置をおこないました。
死亡までの経緯詳細
11月12日、放飼場に出た直後、薫はカットアルファ(粉砕した干し草)やペレットなど、いつもの餌を食べていつものような粒状の便をしていました。ところが11時半頃、ふらついて歩くようになり、目も小刻みに震えたり、よだれが垂れたりする症状が見られるようになりました。
獣医師による診察をおこない、13時45分ごろ、薫を室内に入れました。室内でもふらつきが見られ、15時半頃にはバランスを崩して転倒し、一度は自力で立ち上がりましたが、ふたたび倒れ、立ち上がれなくなりました。中毒または感染症、疝痛等の可能性があることから、抗菌薬やビタミン剤、ステロイド等の点滴を実施しました。体が冷えないよう床には乾草を敷き、滑り止め防止のためにゴムマットを追加しました。
しかしその後も状態は変わらず、目をつぶったり体を震わせたりし、食欲はまったく見られません。保温のために体に毛布をかけ、朝まで点滴を続けましたが、頭が上がらない、呼吸が荒い、反応が弱くなるなど、衰弱していくようすが明らかでした。苦痛が増大していく状況と判断し、やむを得ず安楽死処置を実施しました。
安楽死処置の判断と実施
2023年11月13日、薫の前日からの推移と当日朝の状況について、園長、獣医師、飼育係らが検討した結果、以下の理由に基づき、アニマルウェルフェア(動物福祉)の観点から苦痛を長引かせることを避け、安楽死処置が適切と判断しました。
安楽死処置判断にいたった理由
・治療による改善が見られず、状態が急速に悪化していること。
・このまま起立困難な状態が続いた場合、内臓圧迫による呼吸困難や床ずれが生じ、
敗血症を併発して新たな苦痛となる可能性が高いこと。
・高齢であり回復が見込めないこと。
以上の判断にもとづき、薫に苦痛を感じさせることのないよう配慮した方法で安楽死処置をおこないました。
処置後の対応
安楽死処置後、すみやかに解剖をおこなったところ、腸捻転が確認されました。これにより上記のような症状が発生したと考えられます。
お花のお供えについて
動物へのお花のお供え場所は動物慰霊碑としております。ご足労をおかけいたしますが、献花は動物慰霊碑へお願いいたします。
このたびはたいへん悲しいお知らせとなりましたが、ご理解くださいますようお願いいたします。
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