2023年1月の時点で、多摩動物公園のサル山には、オス28頭・メス33頭合計61頭のニホンザルたちがくらしています。サルたちは、自分の名前が何であるのか理解していませんが、担当者が見分けるために群れのメンバーたちに名前を付けて、生年月日や体重、出産、病気などの個体履歴を記録しています。
メンバー名の一部を、年齢の高い方から順番に生まれ年ごとに書き出してみると、ニシキタケ・サクラタケ(1996年)、コノハガエル(1998年)、ケリ(2000年)、ミミイカ・スボヤ(2001年)、ハス(2002年)、ツバキ・コナラ(2004年)、アイ・コン(2005年)、レンゲ・ハコベ・ケシ(2006年)、レモン・オリーブ(2010年)、オカリナ・エコー(2012年)、フウセン・カザグルマ・オテダマ(2013年)、ビオラ・オーボエ・フルート(2015年)、ヘチマ・オクラ・トウキビ・アサツキ(2016年)、ラッキョウ・イクラ・メンタイコ・アオノリ・フリカケ(2017年)、ベシ・ビッケ・オソマツ・ゼニガタ・アシタカ・モグタン・ヘムヘム・ノダメ(2018年)、ドヴォルザーク(2020年)、ワタオ・トッケビ(2022年)になります。
よくみると、名前から同じ年齢の個体がわかるように、生まれ年ごとに命名テーマが決まっています。それぞれ、1996年は「キノコ類」、1998年「カエル類」、2000年「鳥類」、2001年「海産無脊椎動物」、2002年「魚類」、2004年「木本類」、2005年「色」、2006年「草本類」、2010年「果実」、2012年「音楽用語」、2013年「子どものあそび」、2015年「楽器」、2016年「野菜」、2017年「ご飯のおとも」、2018年「アニメなどのキャラクター」、2020年「音楽家」、2022年「韓国ドラマの題名」となっています。
生まれ年 | 個体名 | 命名テーマ |
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1996年 | ニシキタケ、サクラタケ | キノコ類 |
1998年 | コノハガエル | カエル類 |
2000年 | ケリ | 鳥類 |
2001年 | ミミイカ、スボヤ | 海産無脊椎動物 |
2002年 | ハス | 魚類 |
2004年 | ツバキ、コナラ | 木本類 |
2005年 | アイ、コン | 色 |
2006年 | レンゲ、ハコベ、ケシ | 草本類 |
2010年 | レモン、オリーブ | 果実 |
2012年 | オカリナ、エコー | 音楽用語 |
2013年 | フウセン、カザグルマ、オテダマ | 子どものあそび |
2015年 | ビオラ、オーボエ、フルート | 楽器 |
2016年 | ヘチマ、オクラ、トウキビ、アサツキ | 野菜 |
2017年 | ラッキョウ、イクラ、メンタイコ、アオノリ、フリカケ | ご飯のおとも |
2018年 | ベシ、ビッケ、オソマツ、ゼニガタ、アシタカ、モグタン、ヘムヘム、ノダメ | アニメなどのキャラクター |
2020年 | ドヴォルザーク | 音楽家 |
2022年 | ワタオ、トッケビ | 韓国ドラマの題名 |
野生のニホンザルでは、オスは生まれた群れを出てほかの群れへ移るのがふつうです。また、子育てはメスのみがおこなうため、観察から父親を特定することは困難です。そのため、多摩動物公園のサル山家系図は母系集団で作成しています。
名前の付け方にも、血縁を見分ける工夫がされています。母親の同じ子どもたちは頭文字が共通になっており、ヘチマとヘムヘムはエコーの子どもで、兄弟とわかります。また、群れの全個体は、1968年に小豆島から来た5頭のメス(マキ・アヤメ・フシ・ステ・オチョウ)に由来します。5頭の子孫には、頭文字の母音にそれぞれ順番にa・i・u・e・oがあてがわれており、ヘチマ・ヘムヘム・エコー(he/he/e)はステの家系であることがわかります。

「ヘムヘム」(左)と母親「エコー」(右)
〔多摩動物公園南園飼育展示第1係 由村〕
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