昨年(2022年)の夏に新キリン舎の工事が完了し、キリンたちの慣らしの期間を経て、2022年9月23日に引っ越しが無事完了しました(
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新キリン舎には「ガラス越しの室内展示スペース」が設けられています。キリンの引っ越し後、11月7日から人の姿や声に徐々に慣らすための訓練をおこない、12月22日から本格的に観覧を開始しました。
初めのころは、ガラス越しに人の姿を見るだけで驚いてしまうことがありましたが、開始から1ヵ月が経つころには、室内に戻るとすぐにえさを食べるようになり、キリンたちも少しずつ慣れてきたようです。
これまで使用していたキリン舎(以下「旧キリン舎」)には、北側園路(ライオンカフェからチンパンジー舎へ向かう観覧通路)側にガラス窓があり、収容後に室内ですごすキリンを観察できました。
しかしこの窓は展示用ではなく、その向こうは飼育係の通路で、キリンは奥の格子網の張られた寝室にいたので少々見えにくい構造でした。そのため飼育係が窓から見える位置にえさ箱を設置し、近くで食べるようすを観察できるよう工夫していました。

旧キリン舎 ガラス窓越しに見えるキリン
(撮影日:2010年12月24日)
一方、新キリン舎の室内展示スペースには格子網の仕切りはなく、大きな一面張りのガラス窓となっています。そして、ふだんは見上げるほど背の高いキリンを、その頭より高い位置から観察することができます。
以前と比べてキリンとの距離は少し離れましたが、群れが室内ですごすようすを、天候を気にすることなくゆっくりと観察することができます。

新キリン舎 室内ですごすキリンたち
(撮影日:2023年1月20日)
室内に戻ったキリンをガラス越しに見ると、彼らが手前に向かって一生懸命頭を下げているようすが見られます。ここにはペレットなどの固形状のえさを入れる箱があり、上の段はおとな用、下の段は子ども用と、背の高さに応じて選べるようにしています。
また、右側の扉フェンスに取り付けたシラカシの枝葉では、長い舌を器用に使って食べるようすが見られます。キリンたちは室内に戻るといっせいにえさを食べ始めるので、ぜひ食べ方を観察してみてください。

新キリン舎 おとな用と子ども用の箱でえさを食べるようす
(撮影日:2023年1月20日)
しばらくのあいだは人の声や動きに驚くことがあるかもしれませんが、キリンたちが慣れるまで、静かにあたたかく見守っていただければ幸いです。放飼場にいない時は室内にいるので、新居でゆったりとすごすキリンたちをぜひ見にいらしてください。
〔多摩動物公園北園飼育展示係 塩澤〕
(2023年02月10日)