2022年も残りわずかです。そして、新しく迎える2023年の干支は「卯」です。今回は、そんなウサギのなかでも多摩動物公園で飼育しているノウサギについてご紹介します。
トウホクノウサギ
みなさんがウサギと聞いて思い浮かべるのは、ペットとしても飼われているカイウサギではないでしょうか。今回ご紹介するノウサギは、分類的には重歯目ウサギ科ノウサギ属。カイウサギは、重歯目ウサギ科アナウサギ属に属しています。ほかの動物で言えば、チーターとイエネコ(ご家庭のネコ)くらいの違いになります。
実際、ノウサギたちを観覧されたお客さまの多くが「なんか大きい!」「なんか足長い?」などとお話しされているところをよく耳にします。まさにそのとおりで、カイウサギのなかでも体が小さいネザーランドドワーフが1kg程度であるのに対し、当園で飼育しているエゾユキウサギは2kgを超え、2倍以上の体格差があります。
ノウサギは力強い後脚も特徴です。鋭い牙や爪など、天敵に対抗する手段を持たないノウサギたちは、日中はくさむらなどでじっとしていて、いざ天敵に見つかったらこの後脚を使って「脱兎のごとく」逃げ出すのです。
夜行性であり、夕方や明け方に活発に動く動物なので、みなさんがご覧になる時間は切り株の上など、思い思いの場所でじっとしていることが多いですが、運よく立ち上がった瞬間に立ち合えたら、後脚の長さ、力強さにも注目してみてください。
また、重歯目という言葉のとおり、ウサギ科の動物は、上顎の切歯の裏にもう2枚小切歯が生えています。以前はネズミのなかま、げっ歯目と言われていましたが、この特徴から別のなかま、ということになったそうです。
この前歯を使って葉や樹皮をかじることができます。夕方にカシ枝をあたえると、翌朝には丸裸になっています。また、個体によってはカシ枝の葉よりも樹皮を好んで食する個体もいて、一生伸び続ける歯をすり減らすには、固い樹皮を食べることがちょうどよいのかもしれません。
当協会では、毎年、干支のぬいぐるみを制作しており、今年は「トウホクノウサギ」をモデルにぬいぐるみを制作しました。商品開発担当の方と打ち合わせを重ね、飼育担当ならではのノウサギポイントを盛り込んでもらったものになります。耳の先の黒い部分や足の形、姿勢などがポイントです!
多摩動物公園にお越しの際は、展示のノウサギたちはもちろん、ギフトショップものぞいてみてくださいね。
トウホクノウサギをモデルにした干支のぬいぐるみ
※ぬいぐるみは、数量限定のため、売り切れの場合はご了承ください。
〔多摩動物公園南園飼育展示係 担当班〕
(2022年12月28日)