多摩動物公園で飼育しているコツメカワウソは3頭います。コツメカワウソは東南アジアに生息し、家族で群れをつくって生活する小型のカワウソで、寿命は10~15年とされています。
その3頭のなかで、カワウソ舎がオープンした2008年から飼育しているのがオスの「ゴンタ」さんで、今年16歳になります。昨年、つれあいの「カワちゃん」を亡くし、それまでは2頭で使っていた部屋に1頭で生活しています。朝のえさを食べたあと、午前中は運動場に出ています。昼には部屋に戻り、昼のえさを夕方までに少しずつ食べては麻袋に潜りこんで寝ています。16時くらいに夕方のえさをもらい、17時には消灯です。えさをよく食べ、よく寝て、元気にすごしています。
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ゴンタさんの寝姿。寝顔がいっしょ | 夏は麻袋に入らず寝ることも |
(撮影月:2022年6月) | (撮影月:2022年10月) | (撮影月:2022年7月) |
さて、ゴンタさんはえさを食べるときに少し変わった動きをすることがあります。えさとして与えているのはアジ、ワカサギ、ニジマスにパンやゆで卵、馬肉などで、カワウソは腎臓に結石ができやすいため尿ケア用のキャットフードも与えているのですが、ゴンタさんはそのキャットフードの食べ方が独特です。キャットフードをつかむと口元に持っていき、そのまま上を向いて食べるのです。一粒ずつ、つかんでは上を向いて食べていきます。のどにつまったりしないかと心配してしまうのですが、ゴンタさんはこの動きでキャットフードを食べていきます。
また、結石ができないように予防のため、薬(錠剤)もえさに仕込んで与えています。ワカサギの口の中に仕込んで食べさせようとしているのですが、ゴンタさんは時々薬に気づいてしまうようで、錠剤だけ残っていることがあります。
そこで、錠剤と大きさの変わらないキャットフードに混ぜて、「間違って口に入れちゃった作戦!」を考えました。ゴンタさんはキャットフードを入れた容器をひっくり返して散らばったキャットフードを一粒ずつつかんで食べていくので、散らばったなかに錠剤を投げ入れてようすを見ることにしました。一粒ずつ拾っては食べ、拾っては食べしていくうちに、ついに錠剤をつかみました。ところが、口元に持っていった瞬間、ゴンタさんは錠剤を捨ててしまったのです。作戦失敗です。改めて、カワウソの臭覚など能力の高さを実感しました。
その後は、またワカサギに薬を仕込んでいますが、ゴンタさんはしっかりと気づいているようです。何か次のいい手はないかと考える日々ですが、ゴンタさんは変わらずマイペースです。また、進展がありましたら、お知らせします。
【動画】キャットフードを食べるゴンタさん
〔多摩動物公園南園飼育展示第1係 土屋〕
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