ニュース
キリン個体識別(入門編)
 └─ 2022/05/13
 1958年に開園した多摩動物公園では、1960年に受け入れた1頭からキリンの飼育が始まりました。1964年に初めて繁殖に成功し、現在までに実に196頭ものキリンが多摩動物公園で誕生しています。

 多摩で誕生したキリンたちの血脈は着々と受け継がれ、2022年5月現在17頭の群れでくらしています。17頭もの群れでくらすキリンたちの姿はなんとも迫力があって魅力的なのですが、これだけの頭数がいると我々飼育係が頭を抱えたくなるのは個体識別です。群れを健康的に維持するためにはキリン一頭一頭をきちんと見分けて管理することが必要です。

 4月から新しく担当になった私も1ヵ月かけてようやくある程度の個体がわかってきたところなので、未熟な私から見ても比較的見分けやすい6個体をご紹介したいと思います。

1.「アミ」 メス、2006年いしかわ動物園生まれ、体の大きさ:大
 メスにしては大柄で、顔の色味が特徴的で目の周り以外は鼻の先まで茶色です。今年の3月に産まれた「アリス」の母親です。えさを食べているとき以外は、少し群れから距離を置いてのんびりとしていることが多いです。


アミ

2.「ジル」 オス、2013年埼玉県こども動物自然公園生まれ、体の大きさ:大
 身体が大きく、頭や角に小さなコブがたくさんあってゴツゴツしているのが特徴です。身体の模様はやや濃い目の茶色で、首から体にかけての体色がくすんでいます。活動的で動いていることが多いです。今年生まれたアリスと「ジョー」を含めて11頭の父親です。


ジル

3.「ジョナ」 オス、2019年当園生まれ、体の大きさ:中
 柄の茶色い部分が群れのなかでいちばん濃いこげ茶色をしているのがジョナです。おでこのコブが立派で角も太めです。


ジョナ

4.「ジム」 オス、2020年当園生まれ、体の大きさ:中
 いちばんの特徴は尾の房毛がないことです。小さいころに母親になめとられてしまったそうです。顔の色味は薄め、角が内向きで左角が短めです。


ジム

5.「ジョー」 オス、2022年当園生まれ、体の大きさ:小
 今年生まれの子キリンは2頭いますが、1月に産まれたジョーはアリスと比べると頭部の色が薄めで、アリスよりも目が小さくてクリクリとしたかわいらしい顔つきです。


ジョー

6.「アリス」 メス、2022年当園生まれ、体の大きさ:小
 今年3月に産まれた個体ですが、切れ長の大きな目をしていてキリッとした顔立ちです。ジョーに比べると角が少しだけ内向きです。


アリス

 ここで紹介したのは17頭のなかの6頭だけですが、違いがわかってくると個体どうしの関係や動きの違いなども見えてきて、観察も楽しくなります。

 これだけの頭数の群れを見られる動物園はなかなかありませんし、近々新しいキリン舎もオープンを控えていますので、ぜひ迫力ある群れを見に多摩動物公園にいらしてください。

〔多摩動物公園北園飼育展示係 熊谷〕

(2022年05月13日)



ページトップへ