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アジアゾウ「アヌーラ」の新アジアゾウ舎での放飼
 └─ 2022/03/04
 2021年11月10日から、アジアゾウ「アヌーラ」(オス、推定69歳)の屋外放飼場に出すための練習をおこなってきました。現在は屋外放飼場に慣れて、外に出られるようになっています。今回はそのようすについてお伝えします。

 アヌーラは2017年10月に新アジアゾウ舎「アジアゾウのすむ谷」へ引っ越しました。しかし、そのころはまだ屋外放飼場の工事が完了していなかったため、アヌーラを屋外に出すことができませんでした。2021年7月、ついに屋外放飼場が完成しました。最初は「アマラ」(メス、17歳)から屋外放飼場に出る練習を始めました(アマラの練習について詳しくはこちら)。アマラが屋外へ出られるようになったので、次にアヌーラを出すことになりました。

 しかし、私たちゾウ担当職員には心配なことがありました。アヌーラは高齢個体であり、視力が著しく低下しています。そのため、アヌーラは嗅覚や触覚を頼りに不慣れな屋外放飼場を探索しなければなりません。そこで、アヌーラの不安を取り除くため、すでに屋外放飼場に慣れているアマラといっしょに出す練習をおこなうことにしました。アヌーラを屋外に出すにあたり、自分から出られるようにするため、好物である青草やバナナ、パン、サツマイモを屋外へ通じる扉の近くに置きました。

 練習初日、アヌーラは屋外放飼場へ通じる扉が開くと、鼻で周囲のようすを探りながらゆっくりと外へ出ました。しかし、数歩進んだあたりで室内に引き返してしまいました。職員がえさを投げて誘導しましたが、しばらくその状況が続きました。アマラはアヌーラの近くにはいましたが、えさを食べたり、じゃれついたりと好きに行動していました。その後、2時間ほど練習を続けていると徐々に慣れたためか、最終的に放飼場の中間あたりまで進みました。初日にそこまで出られるとは予想外だったため、今後に期待が持てました。

 アマラがアヌーラのえさを横取りしてしまうため、その後はアマラがいない状況で放飼練習を続け、えさを置く場所を変えて少しずつ放飼場を探索する範囲を広げて、どこに何があるのかを覚えてもらいました。その結果、いまでは屋外放飼場の最奥あたりまで行動できるようになりました。

 現在、午前と午後に分けてアマラと交代で放飼しています。新アジアゾウ舎の工事もあり、アヌーラを観覧できない期間が長く続きましたが、今後はアヌーラの元気な姿をご覧いただけるようになりました。

屋内に近いところから少しずつえさを遠くにおいて
徐々に放飼場に慣らしました。
初日から屋外放飼場の中央付近まで到達できました。


〔多摩動物公園南園飼育展示係 三松〕

(2022年03月04日)



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