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チンパンジーの人工授精に成功しました
 └─ 2022/02/24
 多摩動物公園では、遺伝的多様性を維持するために2016年から継続してチンパンジーの人工授精に取り組んできました。このたび、人工授精による妊娠が確認されましたので、お知らせします。

チンパンジー「デッキー」
チンパンジー「ミカン」

人工授精を行ったチンパンジー
(1)オス個体(精子提供個体)
 名前 デッキー
 性別 オス
 年齢 推定44歳 推定1978年生まれ(出生地不明)
    1980年     長崎鼻パーキングガーデンに推定2歳で来園
    2004年10月21日 多摩動物公園に来園

(2)メス個体(妊娠個体)
 名前 ミカン
 性別 メス
 年齢 16歳 2005年12月28日 多摩動物公園生まれ
    妊娠歴なし

人工授精の取組と妊娠に至る経緯
 デッキーは自然交配ができない個体であるため、当園ではこれまでに子孫を残していませんでした。国内のチンパンジーの遺伝的多様性を維持することを目的に、当園では2016年から継続して、デッキーを精子提供個体として人工授精に取り組んできました。
 2021年10月20日に、トレーニング下で採取したデッキーの精液を用い、麻酔下で「ミカン」への人工授精をおこないました。2021年11月10日にヒト用の妊娠検査薬が初めて陽性を示し、その後も継続して検査をおこなった結果、妊娠が確定しました。
 なお、動物への影響を考慮し、超音波画像検査(エコー検査)などの検査は実施していません。

出産予定日
 妊娠期間は227~239日と報告されていることから、人工授精実施日を0日とすると出産は2022年5月末~6月中旬になる予定です。

※繁殖について
 チンパンジーのメスは10~13歳で性成熟をします。初産年齢は野生で13歳前後です。発情周期は平均36日です。基本的には1産1仔、たまに双子を産みます。仔は2kg前後の体重で生まれ、離乳は4~5歳です。親の出産間隔は、平均で4.6~7.2年です。

当園の飼育状況(2022年2月24日現在)
 19頭(オス6、メス13)

国内の飼育状況(2020年12月31日現在)
 日本国内の飼育状況:48園 303頭(オス131、メス172)
 資料:2020年チンパンジー国内血統登録台帳【(公社)日本動物園水族館協会】

(2022年02月24日)



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