ガン(雁)という鳥のなかまをご存じでしょうか? ガンはカモと同じカモ目に分類され、カモと比べると体は大きく、首と足が長い特徴があります。たとえば、アヒルはカモのなかまに対して、ガチョウはガンのなかまです。日本では冬の渡り鳥としてやってきて、水辺で主に草や種子を食べます。
多摩動物公園では、園内のさまざまな場所で12種類のガンを展示しており、「たまご広場」隣のコウノトリの展示場でもガン類の飼育・繁殖に取り組んでいます。今回は、昨年この展示場に新たに増えたハクガン3羽をご紹介します。
2021年9月24日に、大島公園からハクガンが来園しました。このハクガンは、2020年11月に幼鳥の状態で伊豆大島に飛来したあとほかの場所に飛び立つことなく島にいついていたようです。2021年8月に衰弱していたところを大島支庁が保護し、大島公園で一時的に飼育されて元気になりましたが、野生復帰が困難であるため、ハクガンを飼育している多摩動物公園で受け入れることとなりました。大島公園の職員から引き継ぎを受けた際に、大島ではとても人気者であったと聞いています。
まずは、新たな展示場に慣れてもらうために、すぐにほかのガン類といっしょにはせず、隣のケージにて1羽で飼育することにしました。日々の採食状態と体重が安定して、ほかのガン類とフェンス越しに顔見知りになったところで仕切り扉を開け、ハクガン自らケージから出てくるのを待ち、11月29日に群れと合流しました。
大島公園から来園したハクガン
12月には、ウォークインバードケージと育雛舎(いくすうしゃ)から、それぞれ1羽ずつハクガンをこのケージに移動しました。そのうち育雛舎から来た2021年生まれのハクガンは、まだ成鳥のように真っ白の羽になっておらず、顔、頸(くび)、翼に灰色の羽が残っています。
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ウォークインバードケージから移動したハクガン | 育雛舎から移動した2021年生まれのハクガン |
現在、5羽のハクガンがほかのガン類とともに、「たまご広場」隣の展示場ですごしています。観察をしていると、ガンどうしでもいっしょに行動したい相手、なるべく距離をとっていたい相手など、相性はさまざまのようです。新たに仲間に入ったこの3羽を含め、ガンたちはのびのびとすごしています。
〔多摩動物公園南園飼育展示係 末廣〕
(2022年01月14日)