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一部リニューアルした外国産昆虫の展示
 └─ 2021/11/07
 多摩動物公園昆虫園では、本館2階で外国産の昆虫を展示しています。ここ1ヶ月ほどのあいだで、展示をいくつかリニューアルしました。展示をつくるときに意識したキーワードは「自然な雰囲気」です。

 まずはヘラクレスオオカブト。いわずと知れた世界最大級のこのカブトムシは、中南米の雲霧林に生息し、木の幹を削りながら樹液を吸っています。そのようすを再現するため、展示では加湿器に似た装置で発生させた霧を流し込み(1時間に15分ほど)、立てた木にえさを付けて雰囲気を出しています。


ヘラクレスオオカブトの展示

 次はメダマカレハカマキリです。東南アジアに生息し、枯葉に似た容姿をしています。ケース内には枯葉や生きた植物を配置し、藪にいるカマキリを見つけてもらうような展示としています。


メダマカレハカマキリの展示

 続いては、中米に生息するタランチュラのなかま、コスタリカン・ゼブラレッグです。本種は林床に巣を掘って生活するそうで、展示では木の根元に怪しげに潜んでいるようすを再現してみました。


コスタリカン・ゼブラレッグの展示

 最後はハキリアリです。以前展示していた群れは女王アリが死亡して群れが衰退したため、ペルーから輸入した新たな群れと交換しました。
 それと同時に、アリが育てる菌園の展示の仕方も少し変更しました。以前はアクリルケースの中に大きな菌園が直接入っていましたが、新しい展示ではいくつもの小さなプラスチックケースに菌園が入っています。集合住宅のようで、自然な雰囲気とは程遠いように思われるかもしれません。ですが、ハキリアリは野外の土中では多数の直径15㎝ほどの部屋で菌園を育てているそうで、小さな多数の部屋に分かれているという意味では、より自然に近いと言えそうです。アリの方も菌園の管理がしやすいのか、以前に比べ菌園とゴミをきれいに分け、またケース底に水がたまることも少なくなりました。ただ、菌園でのアリの活動がやや見にくくなってしまったので、そこは今後の課題といえます。


ハキリアリの菌園の展示

 新しくなった展示を通して、世界の昆虫たちの野生での生活に思いをめぐらせていただければうれしいです。

〔多摩動物公園昆虫園飼育展示係 田中〕

(2021年11月07日)



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