多摩動物公園が取り組んでいるトガリネズミ類の繁殖生態解明の成果についてお知らせします。
1.オオアシトガリネズミが多摩動物公園で繁殖しました!
当園では2021年7月22日に、オオアシトガリネズミ4頭が生まれました。国内の動物園では初めての繁殖となります。
生まれたオオアシトガリネズミ
誕生日 2021年7月22日(木・祝)
頭 数 4頭(現在まで1頭が生存)
性 別 不明
両 親 父親、母親ともに2020年9月21日に嶮暮帰島(けんぼっきとう)にて採集、
2020年9月26日多摩動物公園に来園
経過
当園では北海道厚岸郡(あっけしぐん)浜中町(はまなかちょう)とパートナーシップ協定を2007年に結び、同町嶮暮帰島で採集したオオアシトガリネズミとトウキョウトガリネズミの繁殖に取り組んできました。さらに、1999年から北海道嶮暮帰島での動植物相調査をおこなっている河原淳氏と、2019年から「トガリネズミ類の繁殖生態の解明」を目的に共同研究契約を結びました。
浜中町、河原氏との協力の結果、今年の7月22日に飼育下での越冬を経たオオアシトガリネズミのペアから4頭が生まれました。その後、8月8日までに1頭、9月12日に1頭、9月18日には1頭が死亡しましたが、現在、1頭が成育中です。
※パートナーシップ協定について
2007年、浜中町と多摩動物公園は浜中町に生息する貴重な野生動植物の生理生態の解明および生息域の保護・啓発普及を目的として、本協定を締結しました。
公開予定について
未定です。展示に関する情報についてはウェブサイトでお知らせします。
なお、施設整備のためオオアシトガリネズミを展示している「モグラのいえ」は当面閉鎖しています。
当園での飼育状況(2021年10月14日現在)
5頭(オス2、メス2、不明1) ※今回生まれた子どもを含みます。
繁殖したオオアシトガリネズミ
(撮影日:2021年9月15日)
2.トウキョウトガリネズミがはじめて飼育下で生まれました!
当園では、トガリネズミ類の調査・研究をおこなっている河原淳氏と共同で「トガリネズミ類の繁殖生態の解明」に取り組んでいますが、その成果として、採集した3頭のトウキョウトガリネズミが飼育下で出産しました。飼育下での出産は国内初の報告となります。
生まれたトウキョウトガリネズミ
(1)誕生日 2021年8月1日(日)
頭数 7頭(現在まで2頭が生存)
性別 不明
両親 母親:2021年7月28日に北海道白糠郡(しらぬかぐん)白糠町(しらぬかちょう)にて採集
父親:野生個体のため不明
飼育場所 白糠町の飼育場
(2)誕生日 2021年8月4日(水)
頭数 5頭(現在まで1頭が生存)
性別 不明
両親 母親:2021年7月28日に白糠町にて採集
父親:野生個体のため不明
飼育場所 北海道江別市(えべつし)の飼育場
(3)誕生日 2021年8月13日(金)
頭数 2頭(現在まで生存個体なし)
性別 不明
両親 母親:2021年7月30日に白糠町にて採集
父親:野生個体のため不明
飼育場所 江別市の飼育場
経過
当園では、1999年から北海道厚岸郡浜中町の嶮暮帰島での動植物相調査をおこなっている河原淳氏と、2019年から「トガリネズミ類の繁殖生態の解明」を目的に共同研究契約を結びました。今回、共同研究の一環として今年の7月28日~7月30日に白糠町にて捕獲調査し、その後、採集した1頭が白糠町の飼育場で8月1日に7頭の子を出産、もう2頭が江別市の飼育場で8月4日に5頭、8月13日に2頭の子を出産しました。
飼育下においてトウキョウトガリネズミの出産の報告はなく、今回のように妊娠個体を捕獲し、飼育下での出産は初のことで、現在、江別市の飼育場に集められて3頭が成育中です。なお、現地での捕獲調査および飼育には、六田晴洋氏にも協力いただいています。
公開予定について
公開の予定はありません。子どもの成育に関する情報については、ウェブサイトでお知らせします。
当園での飼育状況(2021年10月14日現在)
2頭(メス)
※今回生まれた子どもは北海道内で飼育しており、当園での飼育予定はありません。
出産3日後のトウキョウトガリネズミ
(撮影日:2021年8月4日、写真提供:六田晴洋氏)
(2021年10月14日)