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アジアゾウ「アマラ」、新しく完成した屋外放飼場へ出るための練習中!
 └─ 2021/07/30
 新アジアゾウ舎の屋外放飼場工事が終了し、2021年7月6日、1年以上室内でくらしていたメスの「アマラ」をようやく外に出せる日がきました。今回はそのようすをご紹介します。


放飼場でえさを食べる「アマラ」

 屋外放飼練習の初日は、新しい広大な放飼場を歩き回るゾウを一目見ようと、多くの園内職員が新アジアゾウ舎周辺に集まりました。私たちゾウ担当職員も放飼場周囲の各所に人員を配置し、万全を期して挑みました。放飼場には、アマラの好きなえさを目につく場所に置きました。いざ、放飼練習開始です。

 しかし、放飼場へつながる扉を開けると、そこにアマラの姿はありません。放飼場に興味をもつように職員が扉の周辺にえさを投げても、少し扉から顔を出す程度でした。結局、初日はアマラの両前肢が放飼場へと1歩分出ただけでした。

 2~3日目は初日の反応を受け、扉を開け、仕切りとなる馬栓棒を閉めた状態でおこないました。この状態ではゾウは放飼場に出られませんが、放飼場のようすを観察することができます。仕切りから鼻を伸ばせば取れる場所にえさを設置すると、アマラはそれを食べました。この2日間は放飼場が怖くないことをわかってもらえるように、アマラの自由意思で放飼場を見てもらいました。

 4~6日目はアマラの緊張感も少しずつ薄れてきたので、再度馬栓棒を外し、放飼場に出られるようにしました。扉から少し離れた場所にえさを置き、アマラの反応を見ました。その結果、初日のような緊張感はなく、両前肢が扉の境界を越えることができました。しかし、いまだに屋外に置いたえさを鼻で取れる限り取って、室内に持ち込んで食べました。6日目は腰が引けた状態でしたが、両後肢が扉の境界を越え、全身が外から見えるようになりました。

 7~9日目には放飼場に出てくる距離が長くなり、全身を外に出して歩くようになりました。しかし、まだ放飼場に出るのは短時間で、外に出てはえさをくわえ、室内へ戻ることを繰り返しています。ただ初日と比べれば、大きな進歩です。

 10日目、次は室内と放飼場の間の扉を閉める練習です。適切な飼育をおこなううえで室内の管理が必要ですが、その際にはこの扉を閉め、ゾウには放飼場にいてもらわなければなりません。そこで、まずはアマラが扉を閉めた状態に慣れるための練習をおこないました。

 これまでのアマラの動きを見ると、この練習は非常に難しいように思われました。しかし、今までアマラにえさを投げていた場所ではなく、アマラが今までの練習で比較的近づいた場所で同様のことをしたら、意外にもすんなり扉を閉めることができました。前日と比べると見違えるほどです。ここまで来ると、今後は少しずつ放飼時間を延ばし、より放飼場に慣れてもらうことが次の目標となります。


 今回の練習の目的はアマラが放飼場に出ることではなく、自信をもって放飼場に出て、楽しんでもらうことです。自分のペースでゆっくり慣れてほしいと思います。とはいえ、日々成長を見せるアマラなので、みなさんがこの記事を読まれるころには悠々と放飼場に出ているかもしれません。

 みなさん、ぜひアマラを応援してあげてください。

〔多摩動物公園南園飼育展示係 田口〕

(2021年07月30日)



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