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2021年の新年を迎えて──園長から年頭のご挨拶
 └─2021/01/02
 2021年1月2日の午前9時半に、石の象がある正門前で皆様とお会いする予定でしたが、新型コロナウイルス感染症(Covid-19)の拡大を受け、多摩動物公園は昨年の12月26日から1月11日まで臨時休園となり、ひっそりと新年を迎えました。長期の臨時休園期間中だった昨年5月の開園記念日に続き、とても静かな日となり寂しさを感じますが(5月1日記事)、新たな年のスタートとなりました。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

 昨年の新型コロナウイルス感染症の大流行は、約100年前の「流行性感冒」の脅威と同様に、複雑で深刻な事態を社会・経済活動に与え、現在も大きな影響が続いています。国内外の動物園でも、臨時休園や休業などを余儀なくされるなど、厳しい運営が続いている施設が多い状況です。

 このような状況から、当初は国内外の往来も制限され、動物の移動等の延期や中止をせざるえない状況となりました。しかし、Web会議等で国内外の関係者と連絡を取り合うと、「このような状況であっても野生保全の取組を後退させない」という思いは世界共通のものでした。着実な保全プログラムの実施について調整し、繁殖をめざした動物の移動も、多摩動物公園では2020年の春先には国内の動物園間で再開し、秋には海外の動物園等との間で再開をしました。

 2021年は丑年。「これから発展する前触れ」の年とも言われます。今できることを着実に、将来を見据えて取り組むことが大切です。昨年は新たな試みとして、Webでの講演会、動物教室などを開始しました。参加者からは、「遠方に住んでいるが、容易に参加できた」「Webだと質問しやすい」など、これまでとは違った視点でのご意見をいただきました。現在の新型コロナウイルス感染症の感染状況によっては、園を訪れて動物を直接見たり感じたりすることができないかもしれませんが、今後も情報発信やWebプログラムなどを工夫しながら進めていく予定です。ぜひご覧いただければと存じます。試行錯誤は続いていますが、一人でも多くの方々が動物や動物園に関心をもっていただき、応援していただければ幸いです。

 多摩動物公園では2021年にライオンバスの運行再開と新アジアゾウ舎の完成を予定しています。いずれも長い期間にわたって工事がおこなわれていましたが、ようやくご覧いただくことができるようになります。新たな施設では動物の飼育管理はもちろんのこと、新たな掲示物やサインなども準備して、皆様をお迎えいたします。どうぞ楽しみにお待ちください。

 皆様のご多幸とご健康を祈念して、年頭の挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。


干支展のオーロックスのイラストの前で

〔多摩動物公園長 渡部浩文〕

(2021年01月02日)


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