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アジアゾウ「アヌーラ」と「アマラ」の同居
 └─2020/12/18
 新アジアゾウ舎はオープンに向けて準備中です。室内は完成しましたが、まだ非公開。ここではオスの「アヌーラ」とメスの「アマラ」が生活しています。このたび2頭が1日1時間程度の同居を始めました。


アマラ(左)とアヌーラの同居

 アマラが今年(2020年)5月に新アジアゾウ舎に引っ越してきた後、2頭は柵を挟んだ隣どうしの部屋でくらしています。柵越しで鼻をからめるなどのコミュニケーションをとり、2頭は良好な関係を築いているようです。

 野生のゾウはメスを中心とした群れで生活をする動物です。他個体とのコミュニケーションがよい刺激となり、飼育環境の向上に繋がると考え、柵越しでの2頭の良好な関係を築いてきた2頭の同居を決断しました。アマラの発情の時期も重なっていたことから、繁殖も視野に入れた同居です。

 他個体との同居はアマラにとって1年半ぶり、アヌーラにとってはなんと約30年ぶりです。アマラは現在16歳、アヌーラは推定67歳で歳の差があります。また、白内障のアヌーラには視力の低下が見られます。そうした心配事もあったため、万が一に備えて獣医師には鎮静剤の準備も依頼しました。

 同居にあたって、まずは2頭の距離をコントロールしながら徐々に距離を縮めていく予定でした。しかし、同居を初めておこなった2020年11月25日、2頭を隔てる扉が開き切る前にアマラがアヌーラの方に近づいていきました。少しヒヤリとしましたが、その後は隣に並び、お互いに存在を確認しているようでした。時間が経つとそれぞれえさを食べたり、隣で匂いを嗅ぎ合ったりするなど、仲睦まじい姿も見られました。同居初日のようすは動画をご覧ください。


アヌーラとアマラ、同居初日(
2020年11月25日)

 初めはアマラが近づいて来ても、えさを食べていることが多かったアヌーラですが、日を重ねるごとにアマラに近づいていくことも増えてきました。2頭はとても相性がよいようで、部屋の何か所かにえさを置いても、同じ場所のえさを並んで食べていることがよくあります。とくにアマラからアヌーラに近づいていくことが多く、アヌーラが移動するとそれに続いて移動しています。アヌーラの近くがアマラにとって安心する場所なのでしょうか。一方のアヌーラは、アマラが近くにきても動じる事なく、自分のペースで行動をすることが多いようです。2頭で鼻をからめあったり、鼻を相手の背中に乗せたりするなど、ほほえましいコミュニケーションを取る姿が見られます。


同居を初めて8日目の2頭のようす

 今後も飼育環境の向上に取り組みつつ、2頭の良好な関係を見守っていきたいと思います。

〔多摩動物公園南園飼育展示係 田中星菜〕

(2020年12月17日)


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