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ベニコンゴウインコのひなの誕生と成長
 └─2020/08/21

 多摩動物公園ではベニコンゴウインコ5羽、ルリコンゴウインコ2羽を飼育しています。どちらも中南米からボリビア、アルゼンチンなどに生息するコンゴウインコのなかまです。

 2020年1月、ベニコンゴウインコの「ウィダー」(オス)と「アン」(メス)のあいだにひなが1羽誕生し、育っています。こどもの性別はオスと判明し、「イロハ」と名づけました。このペアは2014年に初めて産卵しましたが、そのときは人が卵を孵化させて育てました。翌年以降は自然孵化、自然育雛を目指して取り組んできました。


左が「イロハ」。右2羽が両親の「ウィダー」(中央、オス)と「アン」(右、メス)。最近のようす

 今シーズンは2020年1月2日から産卵が始まり、ペアが安心できるよう、飼育管理の作業は最低限に抑え、巣箱内の観察も親が離れたときにおこないました。そして1羽のひなを確認したのは1月27日です。

 孵化直後は羽毛が生えておらず、全身ピンク色で体長5cmほどでした。その後体だけが成長し、羽が生えてこないので心配しましたが、孵化後1か月を過ぎた頃から親による給餌量が増えると、イロハの背中全体に灰色の綿の様なふわふわした羽毛が生え始め、両翼と尾に羽の基礎となる羽軸が出てきました。その後、頭頂部に赤い羽が生えた後、両翼と尾の羽軸から徐々に緑や青などに色づき始めました。80日齢にはおとなとほぼ同じ見た目になりました。


50日齢のイロハ

 そして98日齢で巣立ちました。当日巣箱の上に止まっているところを見つけたのですが、こちらの姿に気づいたイロハは驚き、落ちるように巣箱に戻っていきました。翌日以降は巣箱の外で過ごしていました。

 初めはおとなとは違ってくちばしや足を使って器用に移動することができず、迷いながら移動していました。そこで木の枝やロープを増やしてつかむポイントを作り、数日観察したところ、室外のケージへ出てきたものの、帰り方がわからない、という日が何度かありました。

 両親は少し離れた場所から見守ったり、イロハのもとへ迎えに行ったり、初めての子育てとは思えないほど面倒をよく見ていました。イロハは日を追うごとに木の伝い方を学び、どう移動するかをイロハ自身が考えながら数日でスムーズに帰れるようになりました。


室外ケージで過ごすイロハ

 現在、落ち葉をくわえてみたり、飛んでいるチョウに近づいて驚いたり、さまざまな物に興味を示しています。今後も親に教わりながら、たくさんのことを学んでいくことでしょう。今後のイロハの成長にぜひ注目してみてください。

〔多摩動物公園南園飼育展示係 河本彩花〕

(2020年08月21日)



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