アジアゾウのメス「アマラ」が新アジアゾウ舎に移動して3か月ほどが経ちました。今はご覧いただけないアマラの近況をお伝えします。
動画:移動当日のようす
アマラは移動して数日は落ち着かず、夜間も横になって眠るようすが見られませんでした。しかし、現在はえさもしっかりと食べ、夜間も横になって眠っています。横になって眠ることは、新しい環境に慣れてきている証拠なので、飼育係としても一安心です。
夜間、横になって眠るアマラ
一足先(2017年10月)に新アジアゾウ舎へ移動したアヌーラは、柵越しにアマラの隣のエリアで生活していますが、2頭はコミュニケーションをとるようなようすが見られ、良好な関係にあるようです。
お互いにコミュニケーションをとるアマラ(奥)とアヌーラ
新アジアゾウ舎はゾウの足への負担を軽減するために床全面に砂が敷いてあります。アマラは砂を掘ったり、砂浴びをして活発に行動しています。砂をかき混ぜて泥浴びをすることもあります。
野生のゾウは塩分や食べ物、水などを求めて穴を掘ります。また、砂を浴びることで虫よけや、直射日光から皮膚を守っていると言われています。新アジアゾウ舎では常に砂があるので、アジアゾウ本来の行動を引き出すことにも繋がります。しかし、ゾウの行動とともに砂の山は崩れ、砂地の形もあっという間に変わってしまいます。そこで重機を用いて定期的に砂山を作り直したり、整地したりしています。砂浴びをしている姿を見ると、毎日の砂地の掃除や整地にも力が入ります。
砂浴びをするアマラ(移動当日)
旧ゾウ舎でも行なっていた健康管理のためのトレーニングも引き続き行なっています。新しいトレーニング部屋にも慣れてきて、四肢の洗浄や耳からの採血練習など、順調に進んでいます。新アジアゾウ舎には、旧ゾウ舎にはなかった体重計があります。アマラも初めて体重測定を実施したところ、約3,300kgとわかりました。
アマラが早く落ち着いて過ごせるよう、施設に慣れさせるトレーニングもおこなっています。舎内の数か所に飼育係が立ち、順番にアマラを呼びます。呼ばれたところにアマラが来たらご褒美にえさを与えます。初めは呼ばれてもどこに行けばよいかわからないようすでしたが、徐々に呼んだ人のところへ迷いなく来るようになりました。舎内全体を歩かせて、施設の構造や周りから聞こえてくる音などの環境にも慣れさせています。また、舎内を歩かせることで、ある程度の運動量を確保することもできます。
新アジアゾウ舎でくらすアマラをお見せできる日を楽しみにしています。
〔多摩動物公園南園飼育展示係 奥谷秋華〕
(2020年08月14日)