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アカハシコガモの新入りたち
 └─2020/06/26

 多摩動物公園のフラミンゴ舎にくらしているのはフラミンゴだけではありません。じつはアカハシコガモとアカハシオナガガモという2種類のカモたちが一緒にくらしています。

 2020年5月11日、新しく3羽のアカハシコガモがフラミンゴ舎に仲間入りしました。アカハシコガモはアフリカのサハラ砂漠以南に生息する、渡りをしないカモです。成長するとくちばしは鮮やかなピンク色になり、虹彩が赤くなります。

 このたびフラミンゴ舎に加わったアカハシコガモ3羽は、多摩動物公園で3月19日に孵化した個体です。アカハシコガモはフラミンゴ舎ではうまく孵化しないため、ひなを育てる「育雛舎」の孵卵器で孵化させ、十分な大きさになるまで人の手で育てます。

 ひなたちは順調に成長し、移動の日を迎えましたが、すぐにフラミンゴ舎に放すわけではありません。3羽のカモたちにとっては初めての世界です。フラミンゴを見たこともなければ、生まれてからずっと3羽で過ごしていたので他のカモたちを知りません。人間でもいきなり新しい環境に放り込まれるのは不安ですよね。そこでまず環境に慣れさせることから始めます。フラミンゴ舎には屋内・屋外ともに大きなケージに隣接して予備室があります。この予備室で環境に慣れるトレーニングをしばらくおこないました。


先輩アカハシコガモ(左側)と柵越しでの対面

 移動後2日間は屋内の予備室で過ごし、作業中の音や鳴き声、大ケージで与えているえさにも慣らします。その後、屋外の予備室でフラミンゴや先輩ガモたちと柵ごしの対面です。ひなたちも初めは怖がり、外に出るまで時間がかかりました。ようやく外に出ると、大ケージにいる先輩アカハシコガモたちが新入りに興味をもって柵に寄ってきました。新入りカモたちは自分たちと同じ姿をしたカモを見て大興奮です。首を長く伸ばし激しく鳴いていました。カモなりのコミュニケーションをとっているのでしょう。


先輩ガモ(水際より左)のもとへ向かう新入りカモたち

 翌日いよいよ大ケージに入ります。扉を開けると躊躇なく大ケージに入っていきました。さっそく先輩ガモたちに近寄りますが、新入りはそう簡単に歓迎されません……。初めは追いかけられたり、突かれたりしていましたが、1か月ほど経つと群れになじみ始め、社会性を身につけながら元気に過ごしています。


フラミンゴ舎に加わった3羽

 日中は3羽そろって行動することが多く、他のカモたちと比べて若いので動きも活発です。フラミンゴ舎にお越しの際は、3羽のアカハシコガモにもぜひご注目ください!

〔多摩動物公園北園飼育展示係 山本薫〕

(2020年06月26日)



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